- 藤井道人 映画監督・脚本家
- 愛していないなら憎む権利はない。 自分の生まれた街で育んだ家族や友達との愛しい思い出を、 ジョー・タルボット監督は鮮烈に、そしてどこまでも純粋に描ききった。 急速に変わりゆく時代の中で、変わらないものの大切さをこの映画は教えてくれた。
- PUNPEE ラッパー/プロデューサー
- 去年サンフランシスコに行ったときに街の事情を聞いたばかりだったので 針が刺さってくるような映画でした。 帰るべき場所は育ててくれた街なのか自分自身なのか。 故郷にいるはずなのにノスタルジーを感じる街の描写が悲しいけど綺麗で印象的でした。P
- 佐久間裕美子 ニューヨーク在住ライター
- かつて黒人コミュニティや労働者、ヒッピーたちの街だったはずのサンフランシスコが いつしか「暮らせない街」になる過程で、振り落とされていった人々のストーリーに 光があたることはあまりに少ない。 アメリカが再び「不平等」を是正しようとする今だからこそ輝く物語。
- 青野賢一 ビームス創造研究所クリエイティブディレクター、ライター
- 家と街と友情をめぐる、ほろ苦くて優しく、そして勇気ある物語。 なくしてはいけない物事が、この映画には全部詰まっている。
- 東山彰良 作家
- 心優しきふたりの男が、不器用ながらも過去と決別する。 必死にこだわりつづけてきた古い物語を捨て去ろうとする 彼らのすべてが切なく、そして愛おしい。
- マリエ デザイナー
- まるでアートピース。優しさと欲望に包まれ流れ進められていくストーリーに 1シーン1シーンが写真で切り取られているかの様な美しさ。 誰にでもある記憶と懐かしき匂いは国や場所を選ばない。 けれどもそこは憧れの街サンフランシスコ。
- 堂本かおる フリーランスライター(ニューヨーク在住)
- 再開発 - 地価高騰 - 白人の流入 黒人が住めなくなった街で黒人が生きる証を求める、 静かなる Black Lives Matter 作品。 本作は奪われた命(lives)ではなく、黒人が生きること(lives)を、家をその象徴として描いている。
- 山崎まどか コラムニスト
- サンフランシスコの街並みも、歴史を感じる美しいヴィクトリアン・ハウスも、 この新世代監督の目線で見ると何もかもが新しく感じる。 それは街を追われ、故郷を求めるマイノリティたちの切ないほどの望郷の視線なのだ。
- 松浦弥太郎 エッセイスト
- 若い頃、サンフランシスコのフィルモア地区の町並みが大好きで、 毎日、夕方になると友だちと散歩に出かけた思い出がある。 歴史を重ねた家々は、部屋のあかりが灯されると、カラフルにライトアップされ、さらにまぶしく目に映った。 いつかここで暮らすんだ、と夢見た気持ちは今でも色褪せていない。 ピュアな自分に立ち返らせてくれる作品だった。
- 中野裕之 映画監督
- 見たことないサンフランシスコ、スケートボードのシーンに魅了された。 新世代監督の紡ぐ映像はとても新鮮で、新しい映画の描き方。 サンフランシスコ愛、家愛、そして何よりも友情。 優しいってやっぱり素敵だな。 映像が素晴らしくて見入ってしまった。
- 菊地成孔 音楽家/文筆家
- デトロイトやシカゴがそうであったように、我々は合衆国の大都市が「いつの間にか」荒廃しきっていた、という事実をニュースやネットではなく、映画や音楽で徹底的に知る。ここでは現在のサンフランシスコの驚くべき姿が描かれている。路上のブラックブラザー達も、90年代ヒップホップのマナーで生きている主人公の片割れ(これはバディ映画である)も、クソダサく、そして、壊滅的なまでにやり場がない。もう一人の主人公は元ヒッピーカルチャーの名残の一つとしての、前衛演劇の劇作家だ。彼もクソダサく、やり場がない。しかし、本作は、脚本それ自体が劇作的(演劇的)であり、特に最後の驚くべきどんでん返しは、「スリービルボード」や「US」「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」等と匹敵する、劇作的な驚きに満ちている。ジョーダン・ピールやバリー・ジェンキンズ等が標榜する「新・黒人映画」のムーブメントに服ない理由はどこにもない。
- 中川龍太郎 映画監督・脚本家
- どこにもいくことのできない時代の凍れる、沈黙のオペラ。 人が場所に生きるのではなく、場所に人が生かされていることを忘れた現代人への黙示録。 と同時に、かけがえのない友情について物語。 人も物も全ては無くなるが、生きることは無意味ではない。 たった一つの心でも痕跡が残るのならば。
- 丸山けいこ 映画ライター
- とても丁寧に作られており、様々なことを考えさせられました。 ダニー・グローヴァーのキャラクターもとても印象に残りました。 分断が進んでしまった今こそ、ぜひおすすめしたい映画だと思います。
- 堀木三紀 映画ライター
- 私も地方の出身で、街が便利になっていくのは嬉しい反面 寂しい気持ちになった経験があります。 こういったメッセージ性のある作品が今の時代に広がって欲しいなと思っています。
- 久保田明 映画ライター
- ユーモアと悲しさのバランスが絶妙な Black Lives Matterの時代に飄々と生まれたドラマ。 同じくスケートボードが小道具になる、少年3人の友情をあつかった 『行き止まりの世界に生まれて』の風を思い出したりもしました。
- 永島浩 映画ライター
- いくつものヒット曲が使用されていましたが、 「あなただけを」「花のサンフランシスコ」、自らもEPレコードを購入したこの二曲に体が震えました。 サンフランシスコの夢破れし今が、より浮き彫りとなった感じがしました。
- 矢崎由紀子 映画評論家
- 地上げでマイノリティがどんどん郊外に追いやられていく、という世界的な都市問題と 家にまつわる秘密のエピソードが絶妙に結びついた構成が素晴らしい。 そして、友情に泣きました。
- 高山亜紀 ライター
- 心優しい男の子は傷つけられることも多いけれど、繊細であることを隠してマッチョぶってる男の子たちもいて、 改めて「男」でいること、そういなければならない男性たちの辛さ、大変さを想像してしまいます。
- 石井理恵子 ライター
- 家に象徴される家族愛や友情、人生のやるせなさなどを痛感しました。 マイケル・ナイマンの音楽に加え、現在暮らす街への皮肉であり過去への憧憬のようにも感じられる 「花のサンフランシスコ」も印象的に響きました。
- 杉谷伸子 ライター
- 男臭い社会派作品を想像していたら、プランBらしい優しさと切なさが溢れていた。 生きるためには「信じること」が大切というテーマが胸に滲みる。
- 山田さとみ 編集
- 音楽と映像がとても美しく、これまでに持っていたサンフランシスコのイメージを刷新してくれるようでした。 静かに描かれる人間関係からも、この映画にグッと引き込まれていきました。
- 清水祐也 ライター
- サンフランシスコの街を走るバスに、ソーラ・バーチが乗っていることに気づいて驚いた。 彼女が大人になったイーニドなのだとしたら、この映画はふたりの黒人男性による、 もうひとつの『ゴーストワールド』なのかもしれない。
- 増當竜也 映画文筆
- 「自分の“家”に住みたい」というモチーフだけで、 ここまでシビアに社会と人間を見据えたドラマが構築し得るという事実に驚かされるとともに 映画の可能性というものを改めて痛感させられました。
- 山下憲子 映画ライター
- いままで観た作品のどれにも似ていないように思いました。 ふたりの関係の描き方も特別で、オフビートだけど詩的な部分もあって。 ジョニ・ミッチェルの「ブルー」といった意表を突く選曲もとても気に入りました。
- 平沢薫 映画ライター
- とても不思議な感覚の映画。 友情物語でありつつ、そこに街の物語、歴史の物語、建物の物語など さまざまなものが織り込まれ、独特の味わいで魅了する。
- 村松健太郎 映画ライター
- 初長編監督作とは思えない卓越した作りの映画で、 とても詩的で私的なイニシエーションと成長のステップの物語に、 いい意味で裏切られました。
- 牛津厚信 映画ライター
- 本作は握りしめた拳を緩めて、争いの向こう側を見せてくれているように思いました。 観客一人一人が海に漕ぎ出していくかのような、どこか突き動かされる思いがする作品です!
- 足立美由紀 ライター&エディター
- 主人公たちの“友情と喪失の物語。 切ないけれど胸が温まりました。
- 山田ルキ子 ライター
- とても優しい色に満ちた作品でした。 美しいヴィクトリアン様式の建築物とジミー・フェイルズの眼差しが印象深く、 サンフランシスコの変遷と自らの歴史を受け入れてゆく物語に泣けました。
- 稲垣貴俊 THE RIVER
- Black Lives Matterが世界の問題たる今こそ観たい社会性・歴史性と、 あくまでパーソナルな人間ドラマの温かみ。 「あなたはどう生きていく?」と観客に問いかける、誰も他人事にできない映画です。
- Ryoko Kuwahara NeoL編集長
- 開始30秒で特別だとわかる。 物語、構図、間、美術、音楽、全てが完璧でスケートボードで移動する秒間すら芸術的。 サンフランシスコに根ざした作り手の、変わりゆく街を、呼吸を、 そのままフィルムに焼き付けようとする切実な想い。 極めて私的で普遍的な傑作。
- 山本輝洋 FNMNL編集部
- シビアなテーマでいながら、どこか夢を見ているような雰囲気が独特。 胸を締め付けるような切実さにも満ちていて、ラストは今でも上手く言葉にすることが出来ない。 凄いものを観たなという強い感動がありました。
- 大瀧幸恵 映画ライター
- 期待以上のクオリティに魅せられました! ハイスピードカメラ撮影による洗練された映像、 品のいいオーケストレーションを含め劇伴のセンスが抜群でした。 人種差別、格差といった単純な二分法では割り切れぬ現実が描かれていました。
- 白石映子 ライター
- 夢見るジミーのそばにいてやれるモントのような親友がいたらどんなに心強いでしょう。 美しい友情と家と景色に感動しながら、家も仕事も持てない人々の存在、 今に人が住めなくなるかもしれない環境の変化は日本も同じだわと気づきました。
- 景山咲子 シネマジャーナル
- かつて暮らしていた家を取り戻したいと願うジミー。 そんな彼に寄り添うモント・・・二人の友情に、じーんとさせられました。 何より、サンフランシスコのベイエリアの風情がとても素敵で、いつか訪ねてみたいと思いました。
- 北島美穂 ラジオパーソナリティ
- 不思議な余韻が残るステキな作品ですね。 坂の街サンフランシスコをスケボーで移動する二人を捉えた映像とバックで流れる音楽に惹き付けられ、 このシーンだけでも何度も見たいと思いました。
- 上原輝樹 映画サイト「OUTSIDE IN TOKYO」主宰
- さすがA24、期待を裏切りませんね。 ジャームッシュ的なオフビート感もありつつ、 演出の緩急も効いていてショーン・ベイカーを想起させるところもありました。 音楽も素晴らしかったです。
- 岩沢房代 ライター
- プライベートなテーマでありながら、時代や国や人種を越えた普遍性がありました。 歴史がしみこんだ土地は一体誰のものなのか、そんなことを考えました。 生きがいになるほど守りたいものがあるジミーがうらやましくもあります。
- 平林朋子 編集者
- 美しい街と家だけれど、現実とのギャップの広がりを切なく感じました。 信じ続けたいものが人それぞれあって、お互い尊重できればよいけれど、 いかにそれが難しいか・・・ということも、しみじみと考えました。 深く心に残る映画でした。
- 今祥枝 映画ライター
- サンフランシスコの黒人が直面する現実は辛く厳しいもの。 それでも映画は美しくはかない夢を見せてくれる。 哀感と憧憬をかきたてるラストシーンが秀逸です。
- 吉江俊 都市研究者・早稲田大学講師
- 白人社会にも黒人達にも馴染めず、どこか外から街を眺める主人公の眼差しが忘れられない。 変わりゆくサンフランシスコへの深い愛と寂しさを、豊かな映像と突き刺さる言葉で描く。 最初の5分だけで、ただものではない映画とわかる。