2025年1月17日(金) テアトル新宿ほか全国公開

原作:筒井康隆『敵』(新潮文庫刊)
監督・脚本:吉田大八
長塚京三
瀧内公美 河合優実 黒沢あすか
中島歩 カトウシンスケ 髙畑遊 二瓶鮫一
髙橋洋 唯野未歩子 戸田昌宏 松永大輔
松尾諭 松尾貴史

企画・製作:ギークピクチュアズ

宣伝・配給:ハピネットファントム・スタジオ/ギークピクチュアズ
製作:「敵」製作委員会
ⓒ1998 筒井康隆/新潮社 ⓒ2023 TEKINOMIKATA

NEWS

第37回東京国際映画祭 主要三冠の快挙!

2024/11/07 01:15 up!

11月6日、東京・有楽町のTOHOシネマズ日比谷にて、第37回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが行われ、映画『敵』の長塚京三さんが最優秀男優賞、吉田大八監督が最優秀監督賞、そして最高賞にあたる東京グランプリ/東京都知事賞を見事受賞、主要3冠の快挙となりました!
長塚京三さんの79歳での最優秀男優賞受賞は、東京国際映画祭史上最高齢での受賞となります。

最優秀男優賞の発表には、本映画祭 コンペティション部門の審査委員長を務めた香港の俳優トニー・レオンさんがプレゼンターとして登壇。
「スクリーンに登場したその瞬間から、その深み、迫真性で私たちを魅了しました」と絶賛の講評と共に、壇上に登場した長塚さんにトロフィーを手渡しました。

 

長塚さんは、2日前の舞台挨拶から間もない発表だったことに触れ、「あまり急なことで、びっくりしてまごまごしています」とコメント。その上で「敵という映画に出させていただいて、これは歳をとってそしてひとりぼっちで助けもなく敵にとりこめられてしまうという話なんですけれども、結構味方もいるんじゃないかと気を強くした次第です。もうぼつぼつ引退かなと思っていた矢先だったので、うちの奥さんは大変がっかりするでしょうけど、もうちょっと、ここの世界でやってみようかなという気にもなりました。」と作品に触れながら受賞の喜びを明かし「東京国際映画祭、ありがとう。味方でいてくれた皆さん、どうもありがとう。」と観客に感謝を伝えました。

 

続いて発表された最優秀監督賞を受賞した吉田監督は、「この小さな映画を誕生から旅立ちまで見送ってくれている全てのスタッフ、俳優の皆さんに心から感謝します。まだ自分がいい監督かということに自信は持てませんが、間違い無く皆さんのおかげでこの映画はいい映画になったと思っています」と感謝と共に、本作への自信を滲ませました。

 

最後に発表された本映画祭の最高賞にあたる、東京グランプリ/東京都知事賞の発表では、再び審査委員長のトニー・レオンさんが壇上に登場。「本当にこの素晴らしい映画、心を打ちました。知性、ユーモアのセンス、人生の様々な疑問に我々は皆苦戦するのですが、本当に素晴らしいタッチで、シネマを感情的な形のものとして、全て完璧に仕上げたと思っております。エレガントで、新鮮な映画表現」と映画『敵』を絶賛。
再び長塚さんと舞台に登壇した吉田監督は「味方も意外と多いと気づくことができてよかったです。僕も長塚さんも皆さんの敵であり、同時に味方でありたいと思っている」と話し、会場に向けて改めて感謝を伝えました。

11/4(月)東京国際映画祭 公式上映後舞台挨拶に長塚京三さん&吉田大八監督が登壇!

2024/11/05 12:24 up!

祭日の夜、夜遅くの上映にも関わらず、満員御礼で誰も席を立つことなく実施された舞台挨拶。
Q&Aでも次から次へと質問が上がり、多くの観客の皆様とのティーチインを実施致しました!


上映後に登壇した長塚さんは「余計なことかもしれませんが、今年で僕が映画俳優になって50年目だそうで。今日こうして皆さんが映画を観てくださったことも、お祝いの一つとしたいです」と拍手喝采の中で挨拶。

一方、吉田監督は、本作の制作経緯に触れながら「ある程度自分がこれからどのよ うに歳をとっていくのかと想像し始める年齢になって、そんな時に筒井さんの原作小説を30年ぶりに読み直しました。僕は物事を考える時に自分でそれを映画化することで深く考える事が出来るので、まずはなんとなく脚本化してみました」と明かし「この映画は自分にとっても社会にとっても大事な問題を考えるきっかけになったと思う」と実感を込めてお話されました。

本作への出演オファーがあった当時を振り返った長塚さんは「まるで私を当て込んで作ったような話のようで、これも何かの縁だと思いました」「吉田監督自ら脚本を携えて会いに来てくださって、即答でお引き受けしました」とニッコリ。

これに吉田監督は「当初は原作者の筒井康隆さんを想像して脚本を書いていたが、途中から長塚さんが儀助のイメージとして浮かび上がってきて、そこから長塚さんが動き出して止まらなくなった」と話しました。吉田監督は脚本執筆中に長塚の著書を読んだそうで「長塚さんの書かれた本を何冊か読んだ時に、儀助のモノの考え方が長塚さんの書かれたものを通してズシッと響いた気がした。儀助がここにいるとの確信を抱いたのはその時。長塚さんが『当て込んで作ったようだ』というのはその通りです」と長塚のパーソナルな部分に影響を受けて脚本執筆が進んだことを明かしました。

本作では、儀助の大学の教え子を瀧内公美さん、バーで出会う大学生を河合優実さん、元妻を黒沢あすかさんが演じていますが、現在79歳の長塚は「3人の女優さんはいずれも妖艶な方々。僕の主演映画は今回12年ぶりでそれまで映画に出ていなかったわけではないけれど、近しく今を時めく女優さんとお芝居をしたことがなかったわけで。今回3人のウルトラ妖艶な素晴らしいピカピカの女優さんたちを独り占め出来て幸せでした」とユーモア交じりに実力派女優たちとの共演を回想し「これは誰にお礼を言ったら良いのかなあ?」とジョークを飛ばして会場を笑わせました。

また、本作のモノクロ撮影に触れて吉田監督は「モノクロ映像にすると物語の没入感が凄い。後半は特にモノクロ映像が効果的だと、完成したものを観て感じた」と手応えをにじませ、続いてモノクロとカラーでの芝居の質の変化について聞かれた長塚さんは「基本的に変わりはありません」としながら「モノクロでやるというのは撮影が始まって初めて知ったので…驚きました」とまさかの舞台裏を明かしました。

東京国際映画祭で「敵」ワールドプレミア!

2024/11/01 17:27 up!

10月31日、開催中の第37回東京国際映画祭にて、映画「敵」がコンペティション部門に選出され、ワールドプレミア上映が行われました。

当日は吉田大八監督が登壇し、上映後に観客のみなさまと闊達なQ &Aも実施。

有意義な上映会となりました。


 

 

上映後に登場した吉田監督は、「今日は朝一番から、あんまり朝にはふさわしくないかもしれない映画を見に来ていただいてどうもありがとうございます。よろしくお願いします。」とご挨拶。

 

今回ワールドプレミアとなる上映会の終了後ということで、皆さんの顔見て「敵」に見えますか?という司会からの質問には「まだわからないです。」と笑顔を交えて回答。

まず、本作をなぜ「モノクロ」で撮影されたのか、あえて初めてのモノクロに挑んだ理由と映画が出来上がった印象を聞かれた監督は「本当に正直に言うと、古い日本の家を撮影する際、どういう風にしながら撮っていたのかなという参考のために色々古い映画を見たんですね。それに影響されてというのはあります。

でも、皆さんご覧になっておそらく感じられたと思うんですけれども、映画は始まって多分2、3分で、 今自分が観ている作品がモノクロかカラーかということは多分問題じゃなくなるんですよね。日常に比べてその要素を制限している分、映画に対する没入感がより強くなると思いました。」とモノクロ撮影に挑んだ感想を述べた。

さらに筒井康隆氏の原作の映画化の経緯については、「きっかけはちょうどコロナで本屋さんも閉まって、あまり外に出かけられたりできない時に、家にある本作をふと手に取って読み返したら、全然若い時読んだ時とは印象が変わっていて。自分が年を取ったせいもあるし、当時のコロナの状況で、みんなが儀助(主人公)みたいな感じだと感じたんです。色々な意味でとても切実なものを感じて、脚本を書き始めたのがきっかけでした。」と当時を振り返った。

さらに今回は鑑賞されたお客様からの質問も盛りだくさんのQ&Aとなりました。