ABOUT THE MOVIE

空は青く、誰もが笑顔で、子どもたちの楽しげな声が聞こえてくる。そして、窓から見える壁の向こうでは大きな建物から煙があがっている。時は1945年、アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす家族がいた。第76回カンヌ国際映画祭でグランプリに輝き、英国アカデミー賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、トロント映画批評家協会賞など世界の映画祭を席巻。そして第96回アカデミー賞で国際長編映画賞・音響賞の2部門を受賞した衝撃作がついに日本で解禁。

マーティン・エイミスの同名小説を、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』で映画ファンを唸らせた英国の鬼才ジョナサン・グレイザー監督が映画化。スクリーンに映し出されるのは、どこにでもある穏やかな日常。しかし、壁ひとつ隔てたアウシュビッツ収容所の存在が、音、建物からあがる煙、家族の交わすなにげない会話や視線、そして気配から着実に伝わってくる。その時に観客が感じるのは恐怖か、不安か、それとも無関心か? 壁を隔てたふたつの世界にどんな違いがあるのか?平和に暮らす家族と彼らにはどんな違いがあるのか?そして、あなたと彼らの違いは?

CAST

クリスティアン・フリーデル
(ルドルフ・ヘス役)
1979年、ドイツ・マクデブルク生まれ。ミュンヘンのオットー・ファルケンベルク演劇学校で演技を学んだ後、バイエルン国立歌劇場、ミュンヘン・カンマシュピーレ、ハノーファー国立歌劇場で活動。2009年よりドレスデン州立劇場に所属しシラーの「ドン・カルロス」やシェイクスピアの「ハムレット」などでタイトルロールを演じた。映画デビュー作は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた『白いリボン』(09/ミヒャエル・ハネケ監督)。その後オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(15)で、主演としてヒトラー暗殺未遂事件を起こしたゲオルク・エルザ―を演じ、ドイツ映画賞、およびヨーロッパ映画賞の最優秀主演男優賞候補となった。その他出演作にクリス・クラウス監督『15 JAHRE』(23・未)、ドラマシリーズ「バビロン・ベルリン」 (17~22)など。
ザンドラ・ヒュラー
(ヘートヴィヒ・ヘス役)
1978年、ドイツ・ズール生まれ。ベルリンのエルンスト・ブッシュ演劇芸術アカデミーで演技を学び、卒業後はライプツィヒの劇場やスイスのバーゼル劇場で活動した。『レクイエム~ミカエラの肖像』(05/ハンス=クリスティアン・シュミット監督)に出演し、ベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)とドイツ映画賞を受賞。カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞し、アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『ありがとう、トニ・エルドマン』(17/マーレン・アーデ監督)での感情あらわな演技で話題を呼び、ヨーロッパ映画賞の最優秀女優賞を受賞した。その他出演作に『希望の灯り』(19/トーマス・ステューバー監督)、『約束の宇宙」(21/アリス・ウィンクール監督)などがある。主演をつとめた『落下の解剖学』(24/ジュスティーヌ・トリエ監督)は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、『関心領域』とともにアカデミー賞にもノミネートされた。

DIRECTOR AND CREW

監督・脚本:
ジョナサン・グレイザー
1965年イギリス・ロンドン生まれ。ノッティンガム・トレント大学を卒業し、演劇監督や映画・テレビの予告の制作でキャリアを始めた。その後レディオヘッド、ジャミロクワイのミュージックビデオを手がけ、97年にはMTVのディレクター・オブ・ザ・イヤーを受賞。『セクシー・ビースト』(00)で長編映画監督デビューを果たすも、ニコール・キッドマン主演作『記憶の棘』(04)を発表後はMVの世界を中心に活動。ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に招待され、「カイエ・デュ・シネマ」「ガーディアン」ほか数々の海外有力誌の年間ベスト映画に選出されたスカーレット・ヨハンソン主演『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(14)を経て、『関心領域』は10年ぶりの長編監督作となった。
原作: マーティン・エイミス
1949年イギリス・ウェールズ生まれ。14冊の小説、2冊の作品集、8冊のノンフィクションという実績を持つ作家である。小説「二十歳への時間割」(74)でサマセット・モーム賞を受賞。「時の矢―あるいは罪の性質」(91)、「Yellow Dog」(03)はブッカー賞の最終候補に挙がり、回想録「Experience」(20)はジェイムズ・テイト・ブラック記念賞を受賞。エッセイ「The War Against Cliché: Essays and Reviews, 1971-2000」(01)は全米批評家協会賞を受賞した。2008年、タイムズ紙が選ぶ1945年以降の最も偉大な作家50人の1人に選ばれる。23年5月19日没。
撮影監督: ウカシュ・ジャル
1981年、ポーランド・コシャリン生まれ。アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『イーダ』(14/パヴェウ・パヴリコフスキ監督)でヨーロッパ映画賞撮影賞を受賞。アカデミー賞長編アニメ賞にノミネートされた『ゴッホ 最期の手紙』(17/ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン監督)でも撮影監督を担当。近年の作品はアカデミー賞撮影賞と国際長編映画賞にノミネートされたパヴェウ・パヴリコフスキ監督の『COLD WAR あの歌、2つの心』(19)、チャーリー・カウフマン監督の『もう終わりにしよう。』(20)、『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』(20/アレクセイ・ゲルマン・Jr.監督)など。
プロダクションデザイン:
クリス・オッディ
独立系の映画プロダクションでキャリアをスタートさせ、プロディジー、ビョーク、ケミカル・ブラザーズ、スクエアプッシャーなどのミュージックビデオのプロダクションデザインを担当。またアディダス、リーバイス、ギネスなど数多くのブランドのCMも手掛けている。ジョナサン・グレイザー監督とも数多く協業しており、前作『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(14)でもプロダクションデザインも手掛けている。その他映画では『ベルファスト71』(15/ヤン・ドマンジュ監督)、『キング・オブ・シーヴズ』(21/ジェームズ・マーシュ監督)など。
衣装デザイン:
マウゴサータ・カルピウク
ワルシャワ在住。2009年以降、映画、ドキュメンタリー、ドラマシリーズ、ミュージックビデオ、テレビドラマの衣装デザインを手がけてきた。主な作品にアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『アイダよ、何処へ?』(21/ヤスミラ・ジュバニッチ監督)、『Slodki Koniec Dnia』(18・未/ヤツェク・ボルツフ監督)など。17年にリリースされたレディオヘッドの「I Promise」のMVの衣装デザインなども手掛けている。
編集: ポール・ワッツ
90年代初頭よりCMを中心に編集の仕事を始め、ナイキ、フォルクスワーゲン、ヘネシーなどのCMを手掛け、カンヌライオンズ、クリオ賞などの国際広告賞を多数受賞している。ジョナサン・グレイザー監督と長くコンビを組んでおり、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(14)以降、短編『The Fall』(19)の編集も手掛けている。
音楽: ミカ・レヴィ
イギリス在住の作曲家・シンガーソングライター・プロデューサー。実験的ポップバンド、ミカチュー&ザ・シェイプスのリードシンガー兼ギタリストの“ミカチュー”としても知られている。ジョナサン・グレイザー監督『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(14)の音楽でヨーロッパ映画賞最優秀作曲賞を受賞。『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(16/パブロ・ラライン監督)でアカデミー賞作曲賞にノミネート。その他『MONOS 猿と呼ばれし者たち』(21/アレハンドロ・ランデス監督)、『Zola ゾラ』(22/ジャニクザ・ブラボー監督)、スティーヴ・マックイーン監督のTVシリーズ「スモール・アックス」(20)などに楽曲を制作している。
音響: ジョニー・バーン
イギリス出身。『記憶の棘』(06)、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(14)、『関心領域』とジョナサン・グレイザー監督作の音響を手掛けている。ジョナサン・グレイザー監督との仕事を通じてヨルゴス・ランティモス監督と出会い『ロブスター』(16)、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(18)、『女王陛下のお気に入り』(19)、『哀れなるものたち』(24)と同監督の音響も担当。『関心領域』でアカデミー賞音響賞、英国アカデミー賞音響賞、ヨーロッパ映画賞音響賞などを受賞した。
音響: ターン・ウィラーズ
イギリス出身。主な作品に『フューリー』(14/デビッド・エアー監督)、『フレンチ・ラン』(17/ジェームズ・ワトキンス監督)、サイモン・バード監督『Days of the Bagnold Summer』(19/日本未)、ジェシー・アイゼンバーグ監督・脚本の『A Real Pain』(24/日本未)など。ジョニー・バーンと共に『関心領域』で数々の映画賞で音響賞を受賞した。