内野聖陽
コメント
初めて脚本を読んだとき、
性愛についての奥深さを感じさせるちょっと笑える、
微笑ましい『おとぎ話』のような感覚を持ちました。
春画先生という役は、普通の人にはない距離感の人で、
大きな喪失感をもってますけど、
とても愛すべき研究者だと思いました。
お相手の北香那さんは、
とても真っすぐな気持ちのよい方です。
場のシチュエーションに対して、
とても勘のいい方だなあといつも感心しておりました。
塩田さんのシナリオと演出は、
少し現代には無い懐かしい匂いのするものでしたが、
北さんの演技はど直球で、
胸を打つところがありました。
とても素敵な女優さんです。
北香那
コメント
脚本を読んで、まず最初に“弓子の役を何としても私が演じたい”と強く思いました。
登場人物は皆、それぞれの幸せを掴むために真っ直ぐと向かっていくけれど、
その姿がどこか異様で微笑ましく、
じわじわと滲み出てくるような魅力と面白さがあります。
その中で、私が演じる弓子は私自身、
完全に心を持っていかれるほど生命力や好奇心に満ちたピュアなキャラクターです。
撮影前から本作で内野さんと共演させていただけることをとても楽しみにしていました。
内野さんの役作りの丁寧さを目の当たりにして、
衝撃が走ったのと同時に、弓子として内野さん演じる先生を見た時に、
その奥深さにどこまでも夢中になってしまうような吸引力と魅力に圧倒されました。
私も負けじと内野さんに追いついて行こうと必死でしたが、
それが幸せで、刺激的で、
充実した日々だったと噛み締めています。
そんなたくさんの想いが詰まった、
私の大好きな作品です。
多くの方に届きますように。
ご覧になった皆様の反応がとても楽しみです。
塩田明彦監督
コメント
江戸時代、“笑い絵”とも呼ばれた春画の世界は、
男性同士はもちろんのこと、致す前の男女、
さらには女性同士までが顔つき合わせ、
笑い、楽しむものでした。
そうした日本の春画の知られざる美しさや艶やかさ、
どこまでも陽気な人間賛歌とでもいうべき春画の魅力を
少しでも多くの人々に知って頂きたい。
その一心で、わたしたちはこの映画を作り上げました。
笑って笑って、ちょっとエロくて、
でもやっぱり笑ってしまう、
そんな楽しい映画に仕上がったと自負しております。
なんといっても絶品なのは内野聖陽演じる春画先生。
心に詰まった春画への思い、
さらには愛する女性たちへの想いがいまにもはち切れそうで、
気がつくと全身から不思議な震えと波動を発しているような人物を、
えもいわれぬユーモアと、
完璧といってもいい役作りで体現してくれました。
返す刀の北香那も、
本当に胸を打つほど活き活きとして美しい。
決して大きくはない体を思いっきり自由に動かして、
その一挙手一投足こそが愛にほかならないような
見事な演技を披露しています。
そうして完成した映画『春画先生』が、
世界中の“人間”を愛する老若男女、
戦争や差別を超えて“生きること”を愛する皆様に届き、
愛されることをいまはただ願ってやみません。