INTRODUCTION
いつの時代も、男は愛をこじらせる――
女を愛することを、恐れながらも求めてしまう、滑稽で切ない男の恋愛模様
いつの時代も、男は愛をこじらせる――
小説家の矢添(綾野 剛)は、妻に逃げられ結婚に失敗して以来、独身のまま40代を迎えていた。
心に空いた穴を埋めるように娼婦・千枝子(田中麗奈)と時折り体を交え、捨てられた過去を引きずりながらやり過ごしていた。そして彼には恋愛に尻込みするもう一つの理由があった。
それは、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えているからだ。
そんな矢添は、自身が執筆する恋愛小説の主人公に自分自身を投影することで「精神的な愛の可能性」を自問するように探求するのが日課だった。
ところがある日、画廊で偶然出会った大学生の瀬川紀子(咲耶)と彼女の粗相をきっかけに奇妙な情事へと至り、矢添の日常と心が揺れ始める。