原作は累計発行部数100万部を超える桜木紫乃の直木賞受賞作。桜木の実家だったラブホテルを舞台にした七編の連作を、現代と過去を交錯させ一つの物語へ大胆に映像化した。メガホンをとるのは、『百円の恋』や『嘘八百』、昨年のNetflix国内視聴ランキング1位を獲得した「全裸監督」など精力的な活動を続ける武正晴。脚本は、連続テレビ小説「エール」を手がけた清水友佳子。主人公であるホテル経営者の一人娘の雅代には、映画やドラマで圧倒的な演技力と存在感を示す波瑠。桜木自身を投影した役を、繊細さの中に意志の強さを感じさせて好演。共演には松山ケンイチ、安田顕、余貴美子、原扶貴子、夏川結衣、伊藤沙莉、岡山天音ら実力派俳優陣が名を連ねる。
誰にも言えない秘密や孤独を抱えた人々が訪れる場所、ホテルローヤル。そんなホテルと共に人生を歩む雅代が見つめてきた、切ない人間模様と人生の哀歓。誰しもに訪れる人生の一瞬の煌めきを切り取り、観る者の心に温かな余韻と感動をもたらす。
北海道、釧路湿原を望む高台のラブホテル。雅代は美大受験に失敗し、居心地の悪さを感じながら、家業であるホテルを手伝うことに。アダルトグッズ会社の営業、宮川への恋心を秘めつつ黙々と仕事をこなす日々。甲斐性のない父、大吉に代わり半ば諦めるように継いだホテルには、「非日常」を求めて様々な人が訪れる。投稿ヌード写真の撮影をするカップル、子育てと親の介護に追われる夫婦、行き場を失った女子高生と妻に裏切られた高校教師。そんな中、一室で心中事件が起こり、ホテルはマスコミの標的に。さらに大吉が病に倒れ、雅代はホテルと、そして「自分の人生」に初めて向き合っていく・・・。
1967年愛知県出身。短編映画『夏美のなつ いちばんきれいな夕日』(06)の後、『ボーイ・ミーツ・プサン』(07)で長編映画デビュー。『カフェ代官山~Sweet Boys~』(08)、『カフェ代官山 II ~夢の続き~』(08)、『花婿は18 歳』(09)、『カフェ・ソウル』(09)、『EDEN』(12)、『モンゴル野球青春記』(13)、『イン・ザ・ヒーロー』(14)、『百円の恋』(14)などを監督。『百円の恋』は、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞など数々の映画賞を総なめにし話題を呼び、第88回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表作品としてもエントリーされた。近作には、『リングサイド・ストーリー』(17)、『嘘八百』(18)、『銃』(18)、『きばいやんせ!私』(19)、『嘘八百 京町ロワイヤル』(20)、『銃2020』(20)など。公開待機作に『アンダードッグ』がある。Netflixで配信中の話題作「全裸監督」では総監督をつとめている。
―普段小説はあまり読まないのですが、本作はとても面白かったです。映画を撮り続けていると、こういう素敵な出会いがあります。原作の一番の魅力は、連作だけれど、実はひとつひとつが全部裏で繋がっていて、それを読み解くのがすごく面白いこと。ただこれを映画化するには、原作をいじらないと作れないと感じていました。そこを原作の桜木先生が快諾してくれたのは、本当に感謝しています。
―波瑠さんとは初めてご一緒させていただきましたが、前々から眼鏡をかけている姿を見ていて、似合うなと。桜木先生自身も眼鏡をかけている方だし、波瑠さんは桜木先生のムードを持っている方で、雅代のキャラクターがぴったりハマると思いました。波瑠さんのイメージで演じてもらい、見事に雅代を演じてくれました。これはもうキャスティングの勝利じゃないですか。
―松山さんは北国(青森県)出身だから、北海道が舞台の本作に出ると面白いことになるなと。あの朴訥とした感じが、呑気なオモチャ屋さんに合っていると思いました。松山さんは普段から青森の言葉なので、敢えて変えることなく喋ってもらいました。明らかに北海道ではない東北っぽいなまりが出る瞬間がとてもいいんです。劇中では説明していませんが、東北出身で北海道に来ているとか、そういう宮川のバックグラウンドができたら良いなと思ったので。安田さんは、この方こそ北海道出身ですもんね。今回は実年齢よりも上の年齢を演じてもらう必要があったので、特殊メイクを使ったり、体型を変化させたりが必要でしたが、見事に表現してくれました。
―小説を読んで、明らかにひとつの部屋が軸になっているのが分かったので、あの部屋での出来事が全部繋がっていることが読み取れた時に、このホテル、そして部屋をもうひとつの主人公にできないかと考えました。この部屋で起こる10年近くを描けたら、それはとても映画的だと。ひとつの物語として繋げるうえで、どうしてもホテルローヤルという場所からは離れたくなかったので。もっと言うとあの部屋から離れたくなかったのです。
―僕は最後に雅代を救ってあげたかったんですよね。彼女はどこか自分の生まれ育った場所や家族、仕事など様々なしがらみによって、がんじがらめになっている気がしたんです。僕はそこから逃げてもいいんだよって言ってあげたかった。これは女性に向けてのメッセージでもあります。がんじがらめになって苦しむ必要はないし、逃げることが悪いことではないと思うのです。僕は「積極的な逃避」があっていいと思っています。最後に肩の力を抜いてふっと笑う雅代の決断には共感してもらえるのではないかと思います。
東京都出身。2000年に脚本家デビュー。2017年にドラマ「リバース」(TBS)で第93回ザテレビジョンドラマアカデミー賞脚本賞・最優秀作品賞、第8回コンフィデンスアワード・ドラマ賞脚本賞・作品賞を、2019年度のドラマ「わたし、定時で帰ります。」(TBS)では第57回ギャラクシー賞奨励賞を受賞。脚本を担当した映画に「手紙」(06/生野慈朗監督)、「イエスタデイズ」(08/窪田崇監督)など。2020年放送のNHK連続テレビ小説「エール」の脚本も担当。
日本映画学校卒業後、ナックイメージテクノロジーにて1年間従事。その後、撮影助手として、石井浩一、林淳一郎、芦澤明子、藤石修などに師事。主な撮影作品に『おっぱいバレー』(09/羽住英一郎監督)、『闇金ウシジマくん』(12/山口雅俊監督)シリーズなど。武正晴監督作品としては『百円の恋』(14)、『嘘八百』(18)、『銃』(18)、『嘘八百 京町ロワイヤル』(20)、『銃 2020』(20)などがあり、今作は11度目のタッグとなる。
1985年生まれ、大阪府出身。国立音楽大学作曲専攻を首席で卒業。同大学院修了。『わが母の記』(12/原田眞人監督)で第36回日本アカデミー賞音楽賞優秀賞を最年少で受賞。『日本のいちばん長い日』(15/原田眞人監督)、『関ヶ原』(17/原田眞人監督)で3度の日本アカデミー賞音楽賞優秀賞に輝く。映画の他にも、NHK連続テレビ小説「マッサン」(14)、「ハゲタカ」(18/EX)、NHK大河ドラマ「西郷どん」(18)などの音楽を担当。武正晴監督とは『嘘八百』(18)、『嘘八百京町ロワイヤル』(20)に続いてのタッグとなる。
数多くの作品にて照明助手を経て、『愛のむきだし』(09)、『恋の罪』(11)、『ヒミズ』(12)と園子温監督作に続けて携わる。その後、『魔女の宅急便』(14/清水崇監督)や『日本で一番悪い奴ら』(16/白石和彌監督)、『宮本から君へ』(19/真利子哲也監督)など多くの話題作で照明を手掛けている。武正晴監督作に携わるのは今作が初めて。
1962年生まれ、北海道出身。『DEAD OR ALIVE 2 逃亡者』(00/三池崇史監督)で録音技師デビュー。『フラガール』(06/李相日監督)、『ディア・ドクター』(09/西川美和監督)、『悪人』(10/李相日監督)、『怒り』(16/李相日監督)で日本アカデミー賞優秀録音賞を受賞。その他の主な作品に、『パッチギ!』(05/井筒和幸監督)、『寄生獣』(14・15/山崎貴監督)、『聖の青春』(16/森義隆監督)など。今後の公開作に『無頼』(20/井筒和幸監督)、『すばらしき世界』(21/西川美和監督)がある。今作が初めての武正晴監督作品となる。
主な作品として、『繕い裁つ人』(15/三島有紀子監督)、『先生と迷い猫』(15/深川栄洋監督)、『少女』(16/三島有紀子監督)、『サクラダリセット前篇・後篇』(17/深川栄洋監督)、『恋と嘘』(17/古澤健監督)、『青夏きみに恋した30日』(18/古澤健監督)、『ビブリア古書堂の事件手帖』(18/三島有紀子監督)、『Red』(20/三島有紀子監督)などがある。今作が初めての武正晴監督作品となる。
ハワイ語でLeoは声、laは太陽。「太陽の歌声」が彼女の名前。熊本県出身。2016年に「Rainbow」でデビュー。次にリリースした「Let it fly」がテレビCMに起用され、10代の女性を中心に人気を集める。2019年待望の2ndアルバム「Things Change but not all」をリリースし、全22都市24公演となる2ndツアー「Leola Live Tour 2019 ”HANGRY!?”」を開催。本年7月10日には「ふたりfeat. JAY'ED」のリリース、さらに「ないものねだり」と「Lucky Me」が『小説の神様君としか描けない物語』(20/久保茂昭監督)の挿入歌に決まっている。聴く者誰もが思わず幸せになってしまうLeolaの「歌声」にご注目あれ。1978年発売の柴田まゆみのカバー曲、本作の主題歌「白いページの中に」は11月配信予定。
「白いページの中に」1978年
作詞・作曲:柴田まゆみ
© 1978 by Yamaha Music Entertainment Holdings, Inc. All RightsReserved. International Copyright Secured.
1965年北海道釧路市出身。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。2007年、同作を収録した「氷平線」で単行本デビュー。2013年「ラブレス」で第19回島清恋愛文学賞、「ホテルローヤル」で第149回直木三十五賞を受賞。受賞の際の服装(ゴールデンボンバーの鬼龍院翔が愛用しているタミヤロゴ入りTシャツを着用)や、質疑応答で一躍注目を集める。原作の映画化は『起終点駅 ターミナル』(15/篠原哲雄監督)に続き2作目。その他の映像化作品に「硝子の葦」(15/WOWOW)、「氷の轍」(16/ABC)がある。著作に「裸の華」、「砂上」、「ふたりぐらし」、「光まで5分」、「緋の河」、「家族じまい」など多数。現在も北海道在住。
―新たな表現者が、新しい「ホテルローヤル」を見せてくれるんだ!と素直に嬉しかったです。
―小説を書いたときは、あの場所にいたかもしれない人を裸にしている実感があったのに、いざ映画になってみると、原作を書いた自分が裸にされているような心持ちになりました。いっぱしの表現者のつもりでいたのに、映画人集団に、逆に脱がされた感じというか。リアル、というのとはまた少し違う、書き手の内面に踏み込まれた感じがしました。
―リクエストはしませんでした。「楽しみにしています。お好きなように作ってください」とだけ。映画人の体温を信じているので、口出しはしたくないんです。餅は餅屋、です。
―美しくて芯のつよい印象の波瑠さんが無表情、無言でスクリーンに映し出されるとき、ある種の凄みを感じました。内側をあまり見せないときの波瑠さんは、わたしの知る「つよい北海道女」そのものでした。
―初めてお目にかかったのは、安田さんの主演映画『俳優 亀岡拓次』の舞台挨拶で札幌にいらしたときでした。ご挨拶の際に軽い気持ちで「いつか私の書いたものが映像化されるときはお願いします」と申し上げたのですが、あのときはこんな大ごとになるとは思いませんでした。安田さん演じるローヤル社長の大吉は、壮大な夢の実現として湿原を見下ろす丘の上に「ホテルローヤル」を建てました。それはわたしの父でもあるのですが、安田さんに演じていただいたことで、私は娘として父のなにを見てきたのかなあと、自分としては珍しく感傷的な気持ちになりました。
―ものすごい緊張感でした。カメラが回っているあいだ、息を止めてたくらい。あの現場に3日いたら、私は胃が溶けるだろうな、と思いました。病院のベッドで横になっているシーンを撮り終えた安田さんがモニターのある部屋に現れ、「桜木さん、どうでしたか」と訊ねられたのですが、病人メイクは間近で観るとゾンビ。怖くてドン引きしてしまいました。「あ、こんな顔ですもんね」と安田さんに謝らせてしまうという失態。あの日の自分は大馬鹿野郎です。安田さん、ごめんなさい。
雅代のような女の子は、世の中にたくさんいると思っています。彼女や、彼女とすれ違う人々に物語を感じて、自分の足で一歩を踏み出せるきっかけになったり、すぐそばにいる大切なひとを、改めて大切に思うひとときになればいいな、と思います。
この作品を撮るなら東京でセットを組むことは
ありえないという制作陣の熱い思いから、
撮影は全編北海道で行われた。
釧路の町の魅力が盛り込まれているのも見逃せない。
国道沿いにあり、劇中の貴史と美幸さながら車で入ってくると一気に映画の世界観に引き込まれる。
1954年に市民の台所として設立された釧路で最も歴史ある市場。北海道三大市場の一つ。「わっしょいわっしょい」という活気溢れる掛け声と「和して商う」ということから名付けられた。
釧路を代表する百貨店、丸三鶴屋は1996年に閉店しているため看板のみ登場している。
釧路市街地のシンボル。黄昏時や夜にライトアップされる橋や、水面に映る街頭の灯りが幻想的。日本初の橋上彫刻「四季の像」(乙女の像)があり、北国に生きる人々のたくましさが表現されているそう。
北海道で水揚量1位を誇り、1年を通して豊富な魚介類が捕れる。
ラブホテルで働く人と訪れる人がいて、そこにうまれる微妙な温度差を役者さんたちがどんな風に表現するのかととても楽しみになる脚本でした。撮影期間は、素敵な共演者のみなさんでとても楽しかったです。私が演じた雅代はちょっと周りに馴染めないところがあるので、もっと皆さんと仲良くなりたいなと思いながら我慢していました。
雅代はどこかいつも傍観者というか、起こる状況の中心にはいない人で。それも自覚していてどこかコンプレックスだったりもして。いつも所在なさげで可哀想にも思えるけど、悲劇のヒロインにはなりきれないような曖昧さだったり、中途半端にも見えるところが彼女の人間味になればいいなと思って演じていました。
1991年6月17日生まれ、東京都出身。2006年、ドラマ「対岸の彼女」(WOWOW)でデビュー。2015年、NHK連続テレビ小説「あさが来た」でヒロインを務め、その後も「あなたのことはそれほど」(17/TBS)、「未解決の女 警視庁文書捜査官」(18/EX)、「サバイバル・ウェディング」(18/NTV)、「G線上のあなたと私」(19/TBS)、「路~台湾エクスプレス~」(20/NHK)など多くの作品で主演を務める。近年の主な映画出演作は、『流れ星が消えないうちに』(15/柴山健次監督)、『コーヒーが冷めないうちに』(18/塚原あゆ子監督)、『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』(18/波多野貴文監督)、『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(声の出演/19/山崎貴監督)、『弥生、三月-君を愛した30年-』(20/遊川和彦監督)などがある。
自分にとって心を落ち着かせるということをとても大切にしていて、武さんのおかげで現場はとてもスムーズに静かな雰囲気で無駄な力が入る事なく出来ました。
だいぶ自分の方言寄りになってしまいましたが地元に住む人間を演じるので、方言を意識しました。
1985年3月5日生まれ、青森県出身。2002年に俳優デビュー。2005年に『男たちの大和/YAMATO』(佐藤純彌監督)で一躍注目を集め、続く『デスノート』『デスノート the Last name』(ともに06/金子修介監督)で大ブレイク。2016年には、『聖の青春』(森義隆監督)で第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞、第59回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞。近年の主な映画出演作に、『怒り』(16/李相日監督)、『関ヶ原』(17/原田眞人監督)、『ユリゴコロ』(17/熊澤尚人監督)、『宮本から君へ』(19/真利子哲也監督)などがある。2021年には『ブレイブ ‐群青戦記‐』(本広克行監督)の公開が控える。
原作、脚本と拝読し、登場人物それぞれの人間模様の絡まりに、深く感じ入りました。原作の桜木紫乃さんには、何年も前からこの作品への出演を打診していただいておりました。実際に映画化され、こうして出演できたことに、心より感謝申し上げます。
演じた大吉という人物が加齢していく造形には、特殊メイクを施していただきました。参加したのは数日でしたが、現場での武正晴監督の演出、キャストの皆様のお芝居、ロケ地北海道釧路の情景を思い出すと、完成した映画を拝見する前から、素敵な作品になっていると確信している自分です。映画館に、この映画を観に行くことが、今から楽しみで仕方ありません。
1973年12月8日生まれ、北海道出身。森崎博之、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真と共に演劇ユニット「TEAM NACS」を結成。舞台、映画、ドラマなどを中心に全国的に幅広く活動中。硬派な役から個性的な役まで幅広く演じている。近年の主な出演作に、ドラマ日曜劇場「下町ロケット」シリーズ(15・18/TBS)、「重版出来!」(16/TBS)、「正義のセ」(18/NTV)、NHK連続テレビ小説「なつぞら」(19)、「俺の話は長い(19/NTV)、「アリバイ崩し承ります」(20/EX)などがある。主演映画には『俳優亀岡拓次』(15/横浜聡子監督)、『愛しのアイリーン』(18/吉田恵輔監督)、『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(18/李闘士男監督)、『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』(19/大森立嗣監督)などがある。
ホテルローヤルの従業員。怪我で引退した無職の夫と二人暮らし。5年ほど会っていない息子が一人いて、家族写真をパスケースに入れて常に持ち歩いている。
神奈川県出身。2008年第63回毎日映画コンクール田中絹代賞受賞。また『おくりびと』(08/滝田洋二郎監督)、『ディア・ドクター』(09/西川美和監督)、『あなたへ』(12/降旗康男監督)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を 受賞など受賞歴多数。近年の出演作に、『映画深夜食堂』(15/松岡錠司監督)、『繕い裁つ人』(15/三島有紀子監督)、『シン・ゴジラ』(16/庵野秀明総監督)、『AI崩壊』(20/入江悠監督)、『Red』(20/三島有紀子監督)、『ス テップ』(20/飯塚健監督)、『泣く子はいねぇが』(20/佐藤快磨監督)などがある。武正晴監督作品では、『リングサイド・ストーリー』(17)、Netflix「全裸監督」(19)以来の出演となる。
ホテルローヤルの従業員。休憩時間に雅代とミコと大福を食べながら、ボイラー室の換気口から聞こえてくる客室の声を聞いて歓談するのが日課。
8月29日生まれ、岡山県出身。1998年に人気小劇場である劇団KAKUTAの舞台に初参加し、その後2001年から2013年まで劇団員として活躍する。2012年に『夢売るふたり』(西川美和監督)で本格的に映画出演を果たし、以降は映画を中心に活躍の場を広げる。近年の出演作に、『海街diary』(15/是枝裕和監督)、テレビドラマ「ゆとりですがなにか」(16/NTV)、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)、『勝手にふるえてろ』(17/大九明子監督)、『閉鎖病棟-それぞれの朝-』(19/平山秀幸監督)、テレビドラマ「フルーツ宅配便」(19/TX)、『ぐるり1200キロ、はじまりの旅』(20/香西志帆監督)などがある。2018年より「Mr.サンデー」(CX)のナレーションを務める。
雅代の母親。家庭のあった大吉と一緒になり、ホテルの女将となる。家庭を顧みなくなった大吉に嫌気が差し、酒屋の坂上と駆け落ちをする。客室のみかんを決して切らさない。
熊本県出身。テレビドラマ「愛という名のもとに」(92/CX)で女優として活動を始め、『空がこんなに青いわけがない』(93/柄本明監督)で映画デビュー、是枝裕和監督作の『DISTANCE』(01)、『歩いても歩いても』(08)など数多くの作品で活躍。『孤高のメス』(10/成島出監督)では日本アカデミー賞助演女優賞を受賞。近年の映画出演作に、『家族はつらいよ』シリーズ(16・17・18/山田洋次監督)、『64 ロクヨン前編・後編』(ともに16/瀬々敬久監督)、『赤い雪Red Snow』(19/甲斐さやか監督)、『あの日のオルガン』(19/平松恵美子監督)などがある。
女子高生。美容学校の面接をすっぽかし、引率の野島とともに雨宿りのためホテルを訪れる。借金を残して、親が相次いで不倫相手と失踪し、居場所がなくなる。自称ホームレス女子高生。
1994年5月4日生まれ、千葉県出身。ドラマ「14ヶ月~妻が子供に還って行く~」(03/YTV)でデビュー以降、映画、舞台、TVと数々の作品に出演。2018年には『榎田貿易堂』(飯塚健監督)、『パンとバスと2度目のハツコイ』(今泉力哉監督)、『寝ても覚めても』(濱口竜介監督)、『blank13』(斎藤工監督)と公開が続き、第10回TAMA映画賞最優秀新進女優賞、第40回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。主な出演作に『獣道』(17/内田英治監督)、『生理ちゃん』(19/品田俊介監督)、『劇場』(20/行定勲監督)、『十二単衣を着た悪魔』(20/黒木瞳監督)NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)、「全裸監督」(19/Netflix)、「いいね!光源氏くん」(20/NHK)など映画やドラマと多方面で活躍中。
妻が自分の上司と不倫をしていることに気づいてしまった高校教師。まりあに振り回されながらも、明るく能天気な彼女に気を許したのか、苦しい胸の内を少しずつ話していく。
1994年6月17日生まれ、東京都出身。2009年「中学生日記 シリーズ・転校生」(NHK教育)で俳優デビュー。2017年、主演映画『ポエトリーエンジェル』(飯塚俊光監督)での演技が評価され第32回高崎映画祭最優秀新進男優賞を受賞。近年の主な映画出演作に、『きばいやんせ!私』(19/武正晴監督)、『新聞記者』(19/藤井道人監督)、『王様になれ』(19/オクイシュージ監督)、『劇場版 そして、生きる』(19/月川翔監督)、『踊ってミタ』(20/飯塚俊光監督)、『ワンダーウォール 劇場版』(20/前田悠希監督)、『青くて痛くて脆い』(20/狩山俊輔監督)、『リトル・サブカル・ウォーズ ヴィレヴァン!の逆襲』(20/後藤庸介監督)などがある。
父親の墓参りを僧侶にすっぽかされ、払う予定だったお布施5,000円を使って恵とホテルを訪れる。新婚旅行以来のバブルバスを二人で楽しむ。
1970年8月11日生まれ、神奈川県出身。1992年に大人計画に参加。以後、バイプレーヤーとして数々の舞台・映画・ドラマに幅広く活躍する。主な映画出演作に、『それでもボクはやってない』(07/周防正行監督)、『HERO』(07・15/鈴木雅之監督)、『ハッピーフライト』(08/矢口史靖監督)、『ジェネラル・ルージュの凱旋』(09/中村義洋監督)、『パレード』(10/行定勲監督)、『はやぶさ/HAYABUSA』(11/堤幸彦監督)、『探偵はBARにいる3』(17/吉田照幸監督)、『引っ越し大名!』(19/犬童一心監督)などがある。
真一の妻。子育てに加えて姑との同居で、夫と肌を合わせる時間を持てずにいる。アメニティのシャワーキャップを持ち帰るしっかり者。
1983年3月12日生まれ、神奈川県出身。『ぐるりのこと。』(08/橋口亮輔監督)で映画デビュー。主な映画出演作に、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(10/白石和彌監督)、『恋人たち』(15/橋口亮輔監督)、『ピンカートンに会いにいく』(18/坂下雄一郎監督)、『神と人との間』(18/内田英治監督)、『響 -HIBIKI-』(18/月川翔監督)、『テイクオーバーゾーン』(20/山嵜晋平監督) )などがある。W主演の一人を務めた社交ダンスコメディ『レディ・トゥ・レディ』(藤澤浩和監督)が公開待機中。
投稿ヌード写真の撮影場所として廃墟となったホテルを選ぶ。人生の目標を見失っていたが、写真に生きがいを見出しつつある。
1994年大分県生まれ。生後3か月で渡米。7歳で全米ダンスコンテスト・ソロ部門で1位になり「パフォーマーオブザイヤー」を受賞、キッズタレントとしてハリウッドのTV、CMで芸能活動をスタート。日本での主な映画出演作は『琉球バトルロワイアル』(13/岸本司監督)、『TOKYO TRIBE』(14/園子温監督)、『孤狼の血』(18/白石和彌監督)、『サムライマラソン』(19/バーナード・ローズ監督)、『Enter The Fat Dragon』(20/谷垣健治監督)。公開待機作に『るろうに剣心最終章』(21/大友啓史監督)がある。
貴史に連れられて、ホテルを訪れる。最初は嫌がりつつも、貴史の真摯な姿勢と情熱にほだされ様々なポーズをとる。
1994年3月17日生まれ、神奈川県出身。2009年にアイドルグループオーディションに合格し、芸能界デビュー。その後、『新宿スワン』(15)、『リアル鬼ごっこ』(15)、『みんな ! エスパーだよ !』(15)など園子温監督作品に続けて出演し、『アンチポルノ』(17)では主演を務めた。主な映画出演作に、『娼年』(18/三浦大輔監督)、『スマホ拾っただけなのに』(19/中元雄監督)などがある。武正晴監督作品では「全裸監督」(19/Netflix)、『嘘八百京町ロワイヤル』(20)に続いて3度目の出演となる。
1982年6月7日生まれ、福島県出身。大学卒業後、アニメーションの制作会社勤務を経て、俳優を志す。主な出演作に、「ソヴァージュばあさん」(09/谷賢一演出)、「肥後系新水色獅子」(14/堀越涼演出)、「弄ばれて」(14/上野友之演出)などの舞台をはじめ、NHK連続テレビ小説「まれ」(15)、「小さな巨人」(17/TBS)、「BG~身辺警護人~」(20/EX)などがある。俳優として活躍する傍ら、KEYSI(ケイシ)というスペイン武術のインストラクターとしても活動中。
2002年2月20日生まれ、宮城県出身。2017年に開催された「第15回全日本国民的美少女コンテスト」で応募総数8万150通の中から審査員特別賞を受賞。同年、19代目ユニチカマスコットガールに、2018年には第90回選抜高校野球大会のセンバツ応援イメージキャラクターに抜擢され、ファースト写真集「はじめまして16歳」を発売。2019年、テレビドラマ「私のおじさん~WATAOJI~」(EX)にて女優デビューを果たす。今作が初の映画出演となる。
ホテルローヤルに出入りをする酒屋。お酒を運んで来るたびに、るり子と密会を重ねる。
1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。2010年ドラマ「クローンベイビー」( T B S )で俳優デビュー。以降、映画、ドラマ、舞台と活躍の場を広げる。主な映画出演作に、『ワンダフルワールドエンド』(15/松居大悟監督)、『N.Y.マックスマン』(18/増田哲英監督)、『私の人生なのに』(18/原桂之介監督)、『春待つ僕ら』(18/平川雄一朗監督)、『この道』(19/佐々部清監督)、『シライサン』(20/安達寛高監督)、『クソみたいな映画』(20/芝聡監督)などがある。
能代ミコの夫。仕事で足を悪くして以来、働いていない。ミコが帰ってこない日に、血相を変えてホテルへ助けを求めにくる。その後改心し、漁港で働き始める。
1964年12月20日生まれ、北海道出身。演出家、脚本家、俳優として北海道を中心に活動。1996年に札幌市文化奨励賞受賞。2000年に演出した「逃げてゆくもの」が文化庁芸術祭優秀賞を受賞し、2016年には北海道演劇財団芸術監督に就任するなど演劇界で活躍する一方、名バイプレーヤーとしてテレビドラマや映画にも多数出演。近年の出演作に、『沈黙‐サイレンス‐』(17/マーティン・スコセッシ監督)、『空飛ぶタイヤ』(18/本木克英監督)などがある。
幼いミコに「一生懸命体動かしてる人間には、誰もなんも言わねえ。だから毎日笑って、働け、働け」と教える。童謡「この道」を歌っている姿がミコの記憶に強く残っている。
1973年8月2日生まれ、愛媛県出身。2000年にNSC大阪校へ入学。2002年「R-1ぐらんぷり2002」のファイナリストとなり注目を集め、第33回NHK上方漫才コンテストで優秀賞、NHK新人演芸大賞で大賞を受賞。ものまね、リアリティーのある人物描写を得意とし人気を博す。武正晴監督の作品へは『嘘八百』(18)、『嘘八百京町ロワイヤル』(20)『銃2020』(20)に続いて4度目の出演となる。『老後の資金がありません!』(20/前田哲監督)が待機中。
— 映画化に寄せて
桜木紫乃さんの名作を映画化できるとお話しをいただき5年。ようやく映画が完成でき、ホッとしている。原作を読んで「ホテルローヤル」というホテルそのものを主人公にできないかと妄想した。どうしても釧路で撮らなくてはと考えた。釧路という土地が我々撮影隊に力を与えてくれた。桜木さんが我々のシナリオに自由を与えてくれた。この原作に惚れ込んだ素晴らしいキャストとスタッフが集結して挑んでくれた。僕の敬愛する啄木が、さいはてと呼んだ土地での仕事を僕は一生忘れないだろう。釧路、札幌、北海道の土地のおかげで、唯一無二の映画が創れたと自画自賛している。
— 映画化に寄せて
あの日あの場所にいたかもしれない人を、小説というかたちで裸にしたと傲慢にも信じていたので、映像化のお話をいただいたときは「遠慮なく好きに作ってくださいね」などと言っていた。
しかし新たな姿で目の前に現れた「ホテルローヤル」は、あの日あの場所にいたかもしれない経営者やホテルに集う「家族」の物語となっていた。正直に言うと映画という表現に書き手の内面を素っ裸にされたような気持ちになった。 脱がせたつもりが脱がされていた――エンドロールで泣いてしまうという失態。悔しかった。
— 波瑠さんについて
波瑠さんに、ホテルローヤルのひとり娘、雅代を演じていただいた。
誰にも心を見せず開かず、無表情を貫き、黙々とラブホテルの掃除をする彼女の姿は、苦しくなるほどリアルでした。
東京都出身。2000年に脚本家デビュー。2017年にドラマ「リバース」(TBS)で第93回ザテレビジョンドラマアカデミー賞脚本賞・最優秀作品賞、第8回コンフィデンスアワード・ドラマ賞脚本賞・作品賞を、2019年度のドラマ「わたし、定時で帰ります。」(TBS)では第57回ギャラクシー賞奨励賞を受賞。脚本を担当した映画に「手紙」(06/生野慈朗監督)、「イエスタデイズ」(08/窪田崇監督)など。2020年放送のNHK連続テレビ小説「エール」の脚本も担当。
日本映画学校卒業後、ナックイメージテクノロジーにて1年間従事。その後、撮影助手として、石井浩一、林淳一郎、芦澤明子、藤石修などに師事。主な撮影作品に『おっぱいバレー』(09/羽住英一郎監督)、『闇金ウシジマくん』(12/山口雅俊監督)シリーズなど。武正晴監督作品としては『百円の恋』(14)、『嘘八百』(18)、『銃』(18)、『嘘八百 京町ロワイヤル』(20)、『銃 2020』(20)などがあり、今作は11度目のタッグとなる。
1985年生まれ、大阪府出身。国立音楽大学作曲専攻を首席で卒業。同大学院修了。『わが母の記』(12/原田眞人監督)で第36回日本アカデミー賞音楽賞優秀賞を最年少で受賞。『日本のいちばん長い日』(15/原田眞人監督)、『関ヶ原』(17/原田眞人監督)で3度の日本アカデミー賞音楽賞優秀賞に輝く。映画の他にも、NHK連続テレビ小説「マッサン」(14)、「ハゲタカ」(18/EX)、NHK大河ドラマ「西郷どん」(18)などの音楽を担当。武正晴監督とは『嘘八百』(18)、『嘘八百京町ロワイヤル』(20)に続いてのタッグとなる。
数多くの作品にて照明助手を経て、『愛のむきだし』(09)、『恋の罪』(11)、『ヒミズ』(12)と園子温監督作に続けて携わる。その後、『魔女の宅急便』(14/清水崇監督)や『日本で一番悪い奴ら』(16/白石和彌監督)、『宮本から君へ』(19/真利子哲也監督)など多くの話題作で照明を手掛けている。武正晴監督作に携わるのは今作が初めて。
1962年生まれ、北海道出身。『DEAD OR ALIVE 2 逃亡者』(00/三池崇史監督)で録音技師デビュー。『フラガール』(06/李相日監督)、『ディア・ドクター』(09/西川美和監督)、『悪人』(10/李相日監督)、『怒り』(16/李相日監督)で日本アカデミー賞優秀録音賞を受賞。その他の主な作品に、『パッチギ!』(05/井筒和幸監督)、『寄生獣』(14・15/山崎貴監督)、『聖の青春』(16/森義隆監督)など。今後の公開作に『無頼』(20/井筒和幸監督)、『すばらしき世界』(21/西川美和監督)がある。今作が初めての武正晴監督作品となる。
主な作品として、『繕い裁つ人』(15/三島有紀子監督)、『先生と迷い猫』(15/深川栄洋監督)、『少女』(16/三島有紀子監督)、『サクラダリセット前篇・後篇』(17/深川栄洋監督)、『恋と嘘』(17/古澤健監督)、『青夏きみに恋した30日』(18/古澤健監督)、『ビブリア古書堂の事件手帖』(18/三島有紀子監督)、『Red』(20/三島有紀子監督)などがある。今作が初めての武正晴監督作品となる。
ハワイ語でLeoは声、laは太陽。「太陽の歌声」が彼女の名前。熊本県出身。2016年に「Rainbow」でデビュー。次にリリースした「Let it fly」がテレビCMに起用され、10代の女性を中心に人気を集める。2019年待望の2ndアルバム「Things Change but not all」をリリースし、全22都市24公演となる2ndツアー「Leola Live Tour 2019 ”HANGRY!?”」を開催。本年7月10日には「ふたりfeat. JAY'ED」のリリース、さらに「ないものねだり」と「Lucky Me」が『小説の神様君としか描けない物語』(20/久保茂昭監督)の挿入歌に決まっている。聴く者誰もが思わず幸せになってしまうLeolaの「歌声」にご注目あれ。1978年発売の柴田まゆみのカバー曲、本作の主題歌「白いページの中に」は11月配信予定。
「白いページの中に」1978年
作詞・作曲:柴田まゆみ
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