順不同/敬称略
小説を映像にするのは難しいはずだが、台詞や演出はぎりぎりまで抑制され、ただ役者の肉体を通して、それぞれの抱える孤独と希望がこちらに沁みてくる。孤独は大きく、希望は小さい。それでも最後には誰かを愛したくなる、くり返し観たい映画。
ホテルローヤルはどこか賑やかな、森のようだった。注意しないと取り零してしまいそうな人々の小さな囁きや営みが、こんなにも豊穣で切ないなんて。 あの蜜柑を食べにホテルローヤルに行きたい。
何もかもがイミテーションのラブホテルで、本物の愛を求める人たち。 その対比がとても鮮やかで滑稽で、ちょっぴり切ない。人と触れ合うことが難しくなった今だからこそ、 濃密なホテルローヤルの世界にどっぷりと浸ってほしい。
時代は変わり寂れてゆく故郷、寂れゆくホテルローヤル、そこから出てゆくことの出来ない人々、そのあり様が釧路そのものだと、苦しくなりました。 観終わった後は、そこここにホテルローヤル現象を見つけるようになる自分に驚きました。ほんの少しの愛を確かめることが出来たら人は生きて行けるのに、そんな簡単な事が上手くいかない不条理な人生劇場、ホテルローヤルは私の中にもあなたの中にもあるのです。
ホテルローヤルの壁にもベッドにもカーテンにもそして看板にも、生命が宿っていた。 これは、湿っぽいラブホテルの3号室が見てきた人間の記録である。登場人物に乗り移った役者たち、映画人たち、そして桜木紫乃の、エクスタシーに到達しながらも決して満たされることのない渇望が、喘ぎ声となって軋んだ気がした。
豪華なキャスティング!! 美しい釧路湿原。 波瑠さんと桜木さんが重なって見えるのは私だけでしょうか?安田顕さんさすがでした。是非とも映画館に足を運んで下さいね!!
ラブホテルという非日常的な空間で、日常生活を送る人特有の静けさが好きだ。 そんな主人公が、ようやく主人公になる瞬間がたまらない。 ドッと心が動いて、もっともっと好きになった。
ラブホテルを舞台にした物語に、生きるとはどうしようもなく一人だということを、まさか突きつけられるとは。 けれど観終わったあと、残ったのは孤独ではなかった。 一人ずつのさみしさを持ち寄ってでも感じ合えたつかの間の温もりを頼りに、私たちは生きている。生きていく。 さみしい。は、いとしい。の同義であることを知った。
ラブホテルという「非日常」の空間でドラマを繰り広げていく様々な人達と、ラブホテルで働き、彼らの非日常を傍観することを「日常」とする主人公。 そのコントラストがすごく面白かった。
この作品を見る直前、これまで取材でお会いしたラブホテルを営むご家族の姿をふと思い出していました。熱意溢れた創業者である父親、寝る間も惜しみ現場を切り盛りする母親、そして複雑な気持ちを抱えながらもホテルを継ぐことを決めた子ども…。 そんな彼らと、スクリーン越しに再会したような気持ちになりました。
書店員 新井見枝香さんには店頭POPも書いていただきました!
小説を映像にするのは難しいはずだが、台詞や演出はぎりぎりまで抑制され、ただ役者の肉体を通して、それぞれの抱える孤独と希望がこちらに沁みてくる。孤独は大きく、希望は小さい。
それでも最後には誰かを愛したくなる、くり返し観たい映画。
ホテルローヤルはどこか賑やかな、森のようだった。注意しないと取り零してしまいそうな人々の小さな囁きや営みが、こんなにも豊穣で切ないなんて。
あの蜜柑を食べにホテルローヤルに行きたい。
何もかもがイミテーションのラブホテルで、本物の愛を求める人たち。 その対比がとても鮮やかで滑稽で、ちょっぴり切ない。人と触れ合うことが難しくなった今だからこそ、 濃密なホテルローヤルの世界にどっぷりと浸ってほしい。
時代は変わり寂れてゆく故郷、寂れゆくホテルローヤル、そこから出てゆくことの出来ない人々、そのあり様が釧路そのものだと、苦しくなりました。
観終わった後は、そこここにホテルローヤル現象を見つけるようになる自分に驚きました。ほんの少しの愛を確かめることが出来たら人は生きて行けるのに、そんな簡単な事が上手くいかない不条理な人生劇場、ホテルローヤルは私の中にもあなたの中にもあるのです。
ホテルローヤルの壁にもベッドにもカーテンにもそして看板にも、生命が宿っていた。
これは、湿っぽいラブホテルの3号室が見てきた人間の記録である。登場人物に乗り移った役者たち、映画人たち、そして桜木紫乃の、エクスタシーに到達しながらも決して満たされることのない渇望が、喘ぎ声となって軋んだ気がした。
豪華なキャスティング!! 美しい釧路湿原。
波瑠さんと桜木さんが重なって見えるのは私だけでしょうか?安田顕さんさすがでした。是非とも映画館に足を運んで下さいね!!
ラブホテルという非日常的な空間で、日常生活を送る人特有の静けさが好きだ。
そんな主人公が、ようやく主人公になる瞬間がたまらない。
ドッと心が動いて、もっともっと好きになった。
ラブホテルを舞台にした物語に、生きるとはどうしようもなく一人だということを、まさか突きつけられるとは。 けれど観終わったあと、残ったのは孤独ではなかった。
一人ずつのさみしさを持ち寄ってでも感じ合えたつかの間の温もりを頼りに、私たちは生きている。生きていく。
さみしい。は、いとしい。の同義であることを知った。
ラブホテルという「非日常」の空間でドラマを繰り広げていく様々な人達と、ラブホテルで働き、彼らの非日常を傍観することを「日常」とする主人公。
そのコントラストがすごく面白かった。
この作品を見る直前、これまで取材でお会いしたラブホテルを営むご家族の姿をふと思い出していました。熱意溢れた創業者である父親、寝る間も惜しみ現場を切り盛りする母親、そして複雑な気持ちを抱えながらもホテルを継ぐことを決めた子ども…。
そんな彼らと、スクリーン越しに再会したような気持ちになりました。
書店員 新井見枝香さんには店頭POPも書いていただきました!