星と月は天の穴

2025年12月19日(金)テアトル新宿ほかにて全国ロードショー

綾野剛
咲耶  岬あかり 吉岡睦雄 MINAMO 原一男 / 柄本佑 / 宮下順子  田中麗奈
 
脚本・監督 荒井晴彦
原作 吉行淳之介「星と月は天の穴」(講談社文芸文庫)


エグゼクティブプロデューサー:小西啓介 プロデューサー:清水真由美 田辺隆史 ラインプロデューサー:金森 保 助監督:竹田正明
撮影:川上皓市 新家子美穂 照明:川井 稔 録音:深田 晃 美術:原田恭明 装飾:寺尾 淳 編集:洲﨑千恵子
衣裳デザイン:小笠原吉恵 ヘアメイク:永江三千子 インティマシーコーディネーター:西山ももこ 制作担当:刈屋真 キャスティングプロデューサー:杉野 剛
音楽:下田逸郎 主題歌:松井 文 写真:野村佐紀子 松山仁 アソシエイトプロデューサー:諸田創 
製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ 制作プロダクション:キリシマ一九四五 制作協力:メディアミックス・ジャパン ©2025「星と月は天の穴」製作委員会


NEWS

NEW! キャスト・制作陣が語る撮影秘話 座長 綾野剛さんへの“信頼感” 撮影初日メイキング&場面写真解禁

2025/12/17 10:00 up!

綾野剛さんが語る、柄本佑さんとのシーンでクランクイン

「ピストルのような速度のセリフを浴びることができて幸せ」

クランクイン初日は、綾野剛さん演じる矢添と彼の大学時代の友人が会話を交わすシーンからスタートした。友人を演じたのは、荒井組にはもはや欠かせない存在の柄本佑さんだ。

 

助監督の竹田正明氏によると、綾野さんと柄本さんという荒井組の勝手知ったる俳優同士のシーンから始めた方が現場のリズムが出るのではないかという配慮から、本編でも冒頭にくるシーンで撮影はスタート。

 

日本映画界屈指の名キャメラマンで、荒井映画の全ての撮影を担当してきた川上皓市氏ら気心しれた磐石のスタッフが集結した現場は、活発に会話がなされ、キャストとスタッフという境界線のない現場だったとのこと。

 

そんなファーストシーンについて綾野さんは「佑くんの声を初日から聞けて、“柄本佑フリーク”の自分としては、堪らない時間でしたし、朝からあのピストルのような速度のセリフを浴びることができて……それはもうただただ幸せでした。段取りのとき、佑くんの早いセリフ回しが心地よくてずっと見ていたら、自分のセリフを忘れてしまいましたから(笑)」と振り返っている。

 

柄本佑さんは3度目となる荒井組について「荒井組って撮影が順調に進めばスムーズに終わってしまうので(笑)僕のシーンは2時間ないくらいの短い時間でした。荒井さんは自分が書かれたホン(脚本)のセリフを役者がどう咀嚼して持ってくるかというのを愉しまれているところもあるので、“こうしてくれ”“ああしてくれ”というのはあまり言われないんですが、撮影が終わった後お昼休憩に入って“荒井さん、じゃあまた”と声をかけたら、『(撮影現場から)自宅が近いからうちに来て弁当食って行くか』と言われて。

 

驚いて『え!』って言ったら荒井さんが『コーヒーくらい出すぜ』って言ってくれて、なんか荒井さんの脚本の中のセリフみたいだなと思ったのが印象的でした(笑)」と貴重なエピソードを明かした。

 

そして綾野さんとの共演について「綾野さんは初日の一発目なのに『花腐し』でかなり濃密に荒井さんと過ごされているので、バッチリと矢添という役を掴んで、脚本の世界にどっぷりと浸かっているなという印象でしたね」と回想する。

 

 そしてその後は、画廊で初めて矢添と、咲耶さん演じる紀子が出会うシーンが撮影された。出会いのシーンが初共演一発目のシーンとなり、よい緊張感が生まれたようだ。荒井監督、川上キャメラマン、そして綾野さんは演者の立場から、このシーンの構成を相談しながら進めていったという。

 

竹田氏曰く「綾野さんは『自分がこうしたい』と主張することはなく、荒井さんや川上さんがやりたいことを理解した上で、『だったら、僕がこうしたらどうですか?』という受動的な立場でクリエイティブな話し合いに参加してくれた。これは前作から引き継がれていることではあるが、今作はより荒井さんの意図を汲んで、より荒井さんと相談しながら表現しようとしているように感じられた」とのこと。

 

メインキャストでの映画出演はほぼ初めてとなる咲耶さんのファーストカットだったが、「咲耶とも積極的にシーンの在り方を話してくれていて、そのお蔭もあって咲耶が堂々とそこに立っていたのかもしれない」とした上で、「初日、佑さん、咲耶と並んだ綾野さんの矢添像は、人間として微妙な何かが決定的に欠けているのに、どこかゆったりと自信に溢れていて、発している文学的な言葉も相まって、いい意味でちょっと変なズレ方をした相当面白い人だな、と可笑しく感じた」と竹田氏は振り返っている。

 

荒井監督曰く「真面目な人」、咲耶さんも「綾野さんの優しさと気遣いに多々助けていただいた、綾野さんがお相手で幸運だった」と語る通り、作り上げる役柄だけでなく、座長として人間として、綾野剛さんが現場で多大な信頼を寄せられている様子がよくわかるエピソードだった。