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NEW! 荒井晴彦監督特集上映オールナイト トークイベントオフィシャルレポート
ベッドシーンはアクションシーン!
5歳の時から知る柄本 佑さんに荒井節も絶好調!

公開を2週間後に控えた12月6日、テアトル新宿で荒井晴彦特集上映オールナイトが行われた。
19年公開の『火口のふたり』23年公開の『花腐し』そして19日から公開となる『星と月は天の穴』の先行上映と、3本の作品を上映。
上映前に行われたトークショーには上映作品全てに出演している柄本 佑さん、MCには吉岡睦雄さんと親しい俳優たちに囲まれ荒井監督もリラックスした笑顔。
まず荒井監督との出会いを聞かれた柄本さんは「おそらく初めての出会いは湯布院映画祭の荒井晴彦脚本特集の時だったと思います」と振り返る。
「荒井さんに初めて会ったのは5歳の時。鮮明に記憶にあるのですが、湯布院映画祭って毎晩パーティーがあるんですね。お客さんも交えて一緒に映画の話をするんです。そのパーティーに親父(柄本明)と一緒に車で向かっているときに、とぼとぼ歩いている荒井さんがいて(笑)あの人大丈夫かな、って遠くから見ていました。それがまさかこんなに(作品で)お尻を見せることになるとは思っておりませんでした(笑)」と笑いを誘う。
吉岡さんから「柄本さんはどんな俳優ですか?」と聞かれると荒井監督は「天才」と一言。そして『火口のふたり』は、柄本さんの妻・安藤サクラさんがキャスティング候補に上がっていたという裏話を聞かせてくれた。「でも撮影が延びてしまって、その間に子どもができて、朝ドラも決まってしまったから・・・(笑)」と独特の荒井節に柄本さんもタジタジ。
「荒井さんが僕が出てる舞台を見にきてくださったんです。『アライさん来てるよ、アライハルヒコさん』って言われて、えー!荒井さん見に来てくれたの!?と行ったら開口一番『お前、嫁の尻拭えよ』『火口だよ、やれよ』って(笑)」(柄本さん)と楽屋に押しかけられたエピソードを明かしてくれた。荒井脚本作品にも参加したことがなかった柄本さんは、そこから荒井組に参加、以降荒井監督作品には欠かせない俳優となっている。

荒井脚本の魅力について柄本さんは「ご本人を前にしてちょっと恥ずかしいし失礼かなとも思うんですけど、“可愛い”と思うんですよ。真ん中がすごくまっすぐなイメージがあります」と語る。
また、荒井監督は「吉岡はどうなんだよ」と振ると、台本を持ってきていた吉岡さんは『花腐し』の食事シーンの一節を読み上げ「食事シーンが事細かに書かれているじゃないですか。ベッドシーンでも体位まで書かれている。ほかの作品だと抱き合っているとか一言で書かれていることが多いじゃないですか。それであとは現場でやってみようということが多いと思うんですけど」と聞くと荒井監督は「どういうもの食べているかっていうのはキャラクターにとって重要じゃない?セックスもどういうふうにしているか、キャラクターにとって重要だから書いてるんだよね」と語ると、客席からも深い感嘆が聞こえた。
またベッドシーンについて聞かれた柄本さんは「もちろん触れ合うことだったりするから相手の女優さんに対して気を遣うということはあるけど、アクションシーンという捉え方ですかね。『火口〜』は特にアクションを作っていく感じでした」と振り返ると、荒井監督は「この人の親父は、俺が初めて監督やった『身も心も』でかなりハードなベッドシーンでカット、オッケーと言ったら直後にサンダルを引っ掛けて、『どこ行くの?』と聞いたら『ちょっと子どもたち迎えに行ってきます』と。パッと切り替えがすごいです」と俳優の力について振り返った。
柄本さんは俳優としてももちろんのこと、ピンク映画、ロマンポルノまで幅広い映画知識の広さは映画ファンからも信頼を得ているが、荒井脚本のおすすめ作品として『ダブルベッド』(83)と『ベッド・イン』(86)を挙げた。それを聞いた荒井監督は「『ベッド・イン』は初めて字幕を入れた。今度(『星と月は天の穴』)もなんか字幕ばっかりだね」と意外なつながりを発見していた。
3作品に出演した柄本さんは「この映画に関しては、荒井さんの大胆さを感じました。どんどん大胆になっていっているなと感じます」と指摘すると、吉岡さんは「『花腐し』の撮影が終わったあとに、荒井さんがみんなへの挨拶で『また最高傑作を作ってしまいました』とおっしゃったんです。かっこいいと思って。で、実際見たら本当に最高傑作だったんです。そして『星と月は天の穴』を見て、荒井さんまた更新してしまった!と思いました」と語り、「荒井さん、今後他にまた撮りたい作品はあるんですか?」と尋ねられると「あるよ、あるけどね、寿命が・・・」と照れ笑いの荒井監督。
吉岡さんに「急いで撮らなきゃいけませんね」と言われると「ちょっとお金持ってきて!」と最後まで荒井節の効いたトークで締め括った。

