• 人生を賭けた逃避劇。行き着く先は、天国か地獄か!?

そして僕は途方に暮れる

第35回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門正式出品作品

藤ヶ谷太輔 前田敦子 中尾明慶 毎熊克哉 野村周平/香里奈 原田美枝子/豊川悦司 脚本・監督:三浦大輔 原作:シアターコクーン「そして僕は途方に暮れる」(作・演出 三浦大輔) 音楽:内橋和久 エンディング曲:大澤誉志幸「そして僕は途方に暮れる」 製作:映画「そして僕は途方に暮れる」製作委員会 制作プロダクション:アミューズ 映像企画製作部 デジタル・フロンティア 企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ ©2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会

2023.1.13Fri ROADSHOW

INTRODUCTION

監督 三浦大輔(『娼年』『愛の渦』)× 主演 藤ヶ谷太輔 逃げて、逃げて、逃げまくる。その果てに、待ち受けるものとは――。

各所から絶賛を浴びたオリジナルの舞台が映画化!
平凡な1人のフリーターが、ほんの些細なことから、あらゆる人間関係を断ち切っていく、人生を賭けた逃避劇。逃げ続けたその先で、彼を待ち受けていたものとは――。

脚本・監督を務めるのは、『愛の渦』『娼年』など、毎回賛否が渦巻く衝撃作を世に送り出し、各界から注目を集め続けている異才・三浦大輔。主人公・菅原裕一を演じるのは、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔。ばつが悪くなるとすぐに逃げ出してしまうクズ男っぷりを見事に体現。これまでのイメージを大胆に覆し、俳優として新たな魅力を放つ。さらには、前田敦子中尾明慶豊川悦司原田美枝子香里奈毎熊克哉野村周平ら、個性的で魅力溢れるキャスト陣が集結。本作のエンディングでは、1984年に大ヒットを記録した伝説の楽曲「そして僕は途方に暮れる」大澤誉志幸本人が映画のための新アレンジで歌唱、この物語の余韻を心に刻む。予測不能なストーリー、共感反感が渦巻く《現実逃避型》エンタテインメントが誕生した。

STORY

スマホの電源を切ったら、全部終わり−−−。

自堕落な日々を過ごすフリーターの菅原裕一は、長年同棲している恋人・里美と、些細なことで言い合いになり、話し合うこともせず家を飛び出してしまう。その夜から、親友、大学時代の先輩や後輩、姉のもとを渡り歩くが、ばつが悪くなるとその場から逃げ出し、ついには、母が1人で暮らす北海道・苫小牧の実家へ辿り着く。だが、母ともなぜか気まずくなり、雪降る街へ。行き場を無くし、途方に暮れる裕一は最果ての地で、思いがけず、かつて家族から逃げていった父と10年ぶりに再会する。「俺の家に来るか?」、父の誘いを受けた裕一は、ついにスマホの電源を切ってすべての人間関係を断つのだが――。

STAFF

脚本・監督三浦大輔

PROFILE

1975年生まれ。演劇ユニット「ポツドール」を主宰し、センセーショナルな作風で演劇界の話題をさらう。2006年「愛の渦」で第50回岸田國士戯曲賞を受賞。2010 年パルコ・プロデュース「裏切りの街」(作・演出/2022年に新国立劇場で再演)、 2013 年「ストリッパー物語」(原作:つかこうへい、構成・演出/シアターイースト)、2015年シアターコクーン・オンレパートリーで、ブラジルの巨匠ネルソン・ロドリゲスの戯曲「禁断の裸体」を演出し、高評価を得、2016 年舞台「娼年」で演出家としての地位を確固たるものとする。「そして僕は途方に暮れる」 (主演:藤ヶ谷太輔)舞台版は、2018年Bunkamura シアターコクーンで上演された。最新オリジナル作は 「物語なき、この世界。」(シアターコクーン/2021)。
映画監督としては、2003 年『はつこい』で第25回ぴあフィルムフェスティバル審査員特別賞を受賞。2010 年『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(原作:花沢健吾、脚本:三浦大輔)で商業映画監督デビューを飾り、2014年自作で岸田戯曲賞受賞作『愛の渦』を映画化する。2016年『何者』(原作:朝井リョウ)、2018 年『娼年』(原作:石田衣良)で監督・脚本を務め、その演出力、表現力が高い評価を得た。また、パルコ・プロデュース公演の自作「裏切りの街」は2016年にdTVで配信ドラマ化。この作品は、異例の劇場公開も果たした。

MUSIC

エンディング曲

「そして僕は途方に暮れる」

作詞:銀色夏生 作曲:大澤誉志幸 編曲:内橋和久 歌:大澤誉志幸

大澤誉志幸

PROFILE

1981年4月、「クラウデイー・スカイ」のヴォーカル&ギターとしてビクターよりデビュー。二枚のシングルと一枚のアルバムをリリースする。その後、沢田研二、中森明菜、山下久美子、吉川晃司、鈴木雅之 etc. 名だたるアーティストにシングル曲を提供し、メロディー・メイカーとしての才能を世間に認知させる。1983年6月、Epic sonyよりソロデビュー。「そして僕は途方に暮れる」等の大ヒットでシンガーとしての地位を不動のものとする。ソロ・アルバムを発表する傍ら、数多くのアーティストへ楽曲を提供、その他、企画&プロデュースも行う等、活動の幅は多岐に渡る。2017年2月22日35周年記念作品2枚組アルバム『大澤誉志幸SONG BOOK』(DISC-1提供楽曲のセルフカバー+代表曲と新曲を DISC-2提供楽曲をオリジナル歌唱アーティストの音源を収録。)をリリース。東名阪にて35thに相応しい素晴らしいライブを展開。
2018年1月24日 DVD『大澤誉志幸 35th Anniversary Best Of Live』発売。「SASURAIツアー」と銘打って日本全国を巡る年間約100本のLIVEを実施しつつ、大好評のALBUM再現ライブを東阪で実施。2020年〜21年コロナ禍、配信ライブと全国を巡る「SASURAIツアー」を実施、 その後も毎年日本全国を巡る約100本のLIVEを継続実施中。2022年4月20日YOSHIYUKI OHSAWA 40th Anniversary Album「NAKED -裸の肖像」DVD+CD2枚の豪華3枚組をリリース。イヴェントに参加しつつ「SASURAIツアー」も勢力的に展開中。

PRODUCTION NOTE

舞台から映画へ
『愛の渦』(’14)や『裏切りの街』(’16)、『娼年』(’18)など、三浦大輔監督は自らが手がけた舞台をたびたび映像化、高い評価を得てきた。次なる映像作品に期待が高まる中、2018年に三浦監督が初めて、Bunkamuraシアターコクーンにオリジナルを書き下ろした舞台『そして僕は途方に暮れる』を、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『娼年』でも組んだ小西啓介プロデューサーとの再タッグで、映画化することが決まる。
「公演を終えて一段落したときに、映像作品としても成り立つ原作じゃないか、いつか映像化できればいいなと思っていました。その後、舞台をご覧になっていた小西さんが映画化を提案してくださったんです」(三浦監督)。ときは2020年前半、折しも世の中がコロナ禍に突入したころだった。
「SNSツールの急速な普及とコロナ禍が重なって、人と人が直接会って対話する機会が極端に少なくなる上に、コミュニケーションの取り方も変化し、自分の考えを伝えること、相手の気持ちや本心を理解する事が難しくなっていると感じていました。このままだと人間関係を構築することが、面倒なことになってしまう。そんな時代だからこそ三浦さんの舞台『そして僕は途方に暮れる』を映画化することに意義があると思い、監督に提案しました。実は、私も舞台を観たときから『いつか映画化したい』と漠然と考えていたのですが、そのタイミングが来たと思いました。」(小西P)
主人公の菅原裕一が直面した問題をうやむやにしつつ逃避を繰り返す、ロードムービー的な手法を舞台上で表現するのが、〝そし僕〟の胆(キモ)だった。が、映画化にあたってはストレートに、まさしくロードムービーとして画がわりさせていく描写を選択する。「映像に置き換えるのに適した物語ではあったのですが、それがゆえにありきたりなものになってしまう危惧もありました。ですので、王道的なロードムービーではあるけれど、主人公が逃げている内容が映画にするまでもない、実に些細なことだという──そのギャップを踏まえて、しっかり映画的につくりこむのが面白いんじゃないかと考えました」(三浦監督)、映画『そして僕は途方に暮れる』のプロジェクトが具体的に動き出していく。
舞台に続き再タッグ。俳優・藤ヶ谷太輔とは−−
逃げ続ける主人公・菅原裕一役は、舞台に引き続いて藤ヶ谷太輔が続投。この配役に対する異論の余地はなかった。稽古期間から公演の千秋楽まで、菅原を自身の体に染みこませて過ごした期間は伊達じゃない。だが、撮影時は舞台から3年が経過。感覚を呼び覚ますのに、若干時間を要したようだ。
「舞台版で培った菅原の土台があったので、それを藤ヶ谷くんと僕とで思い起こしながらクランクインしたのですが、1週間ぐらい経ってからは、ほぼ舞台のころの菅原の感覚を取り戻していました。また、映像化においては2人で『舞台のとき以上に、作品を描ききろう』という話をしました。一度、舞台から時間を置いたことで見えたものがお互いにあり、作品に対する理解も深まりましたし、2人とも冷静に作品へ向かっていけたように感じます。」(三浦監督)
また、現場での藤ヶ谷の様子については、小西プロデューサーから次のような証言を得ることができた。「人間関係を断って逃げ続ける役ですから撮影現場で和気あいあいとする様子はあまり見受けられなかったです。裕一という役に向き合って黙々と芝居に臨んでいる感じがしました。演出面で監督に追い込まれていたし、藤ヶ谷さん自身も敢えて自分を追い込んでいたようにも見えました。撮影が進むにつれ、どんどんやつれて疲弊しているのが分かりましたが、役者魂と言いますか、『まさに身を削って裕一役を演じ切った。』というのが率直な感想です。色々な面で相当大変だったと思うのですが、かといってピリついていたわけでもなく、やるべきことを淡々と受け止めているニュートラルな面も藤ヶ谷さんの素晴らしい点だと思いました。」
藤ヶ谷本人は撮影中「もうすでにチームとして、痺れ、めちゃめちゃ追い込まれ…でも、なんかそういうところで鍛えていただいているというか。どんどん変わっていく自分がすごく面白くて、今も感情の小さな動きを丁寧に、そしてそのシーンを成立させるために試行錯誤していますね。わからないことはとにかく聞いて、三浦さんもすごく寄り添ってくださって、なんならご自分でやったりするので、そういうのもヒントにしながら、本当に痺れながら役を作って届けているという感じです。」と語っている。ストイックに菅原という役と向き合う藤ヶ谷を中心に、撮影は粛々と進められていった。
配役の妙が光るキャスティング
藤ヶ谷と同じく、裕一の恋人・里美役の前田敦子と親友・今井伸二役の中尾明慶は舞台から続投。この3人が映画でも中核をなす強みは、撮影序盤から大いに発揮された。「中尾くんは、僕がやりたいことを映像においてもすぐに理解して体現してくれるので、全幅の信頼を置いていました。前田さんは舞台のときの感覚を取り戻すまで、ちょっと助走を要した印象でしたが、戻ってからは完璧でしたね。クライマックスのシーンを撮影の前半で撮らなきゃならなくて、ちょっと酷だったのですが、里美というヒロインを全身で体現してくれたと思います。」(三浦監督)
一方で、菅原の家族や先輩を演じるキャストは一新されている。父・浩二を豊川悦司、母・智子を原田美枝子、姉・香を香里奈。またバイト先の先輩・田村修役で毎熊克哉、後輩の加藤勇役として野村周平に、それぞれ白羽の矢が立った。
「豊川さんと原田さん、言うまでもなく大ベテランのお2人からは、多々勉強させていただきました。僕がどうしても微妙なニュアンスを求めてしまうので、何回も何回も同じ芝居をしてもらうことになってしまうのですが、その要求にも応えてくださって…、あらためて感謝と敬意の念を抱いています。また、〝そし僕〟のようなテイストの作品で、今回のような役どころを香里奈さんが演じているイメージが、僕の中ではあまりなかったんです。なので、いい意味で、アンバランスで面白いキャスティングになるのかなという期待がありました。現場でも熱量の高いお芝居をしてくださって、役とピッタリだったなと思います。野村くんと毎熊くんも短い撮影期間ではありましたが、役どころをしっかり理解してくれて、さらにお二人の個性も充分に発揮して、演じてくれました。」(三浦監督)、まさに適材適所、しかも豪華布陣。結果的にも配役の妙が随所で光る人選だった。 
三浦組における撮影エピソード
本作はシネマスコープのサイズで撮影されている。これは三浦監督たっての希望だった。
「シネスコの狙いは、まず、作品全体を『映画というもので包む』という意図があったので、仕掛けとして必要だったんです。あとは、一見、はたから見たら、どうでもいいと思えるような些細な物語なので、それを敢えて、映画的に見せ切ることが、歪(いびつ)で面白いと思ったんです。」(三浦監督)
当初、小西プロデューサーはシネスコサイズで撮ることに懐疑的でもあったようだが、終わってみれば監督の選択が賢明だったと称賛している。
「前半は室内での会話シーンが多いのでシネスコサイズの効果がどれだけあるのだろうか?現場は狭いし、色々大変なんじゃないかとスケジュール面への影響なども心配していましたが、北海道ロケやドローンで撮った映像を見て、前半の窮屈な世界感と後半のギャップは効果的だと思いました。」
そういったテクニカルな面もさることながら、本作では、三浦監督の変化がいくつか見られたと、小西プロデューサーは明かしている。
「終盤のある大事なシーンの撮影でワンテイク目で藤ヶ谷さんが完全に裕一が乗り移ったかのごとく……感情が溢れ出す凄いお芝居をされたんです。それは凄く良かったのですが、そのシーンの狙いとはやや違っていたので、その後、結構な数のテイクを重ねていたことがありました。ですが、後の編集ラッシュで監督はワンテイク目を使って、裕一の感情に寄り添った劇伴までつけていました。私が知る限りでは演出家としての三浦監督は俳優さんのお芝居に引っ張られてシーンの狙いを変えることがこれまでほぼなかったような気がします。少しでも違うなと思うとテイクを重ねながら微調整して完成形に近づけていく。そのあたりの徹底ぶりは凄いものがあります。でも、結果的にそのシーンではワンテイク目を使った。シーンのニュアンスを変える程、藤ヶ谷さんの演技に心を動かされたのだと思いました。その点はすごく印象に残っていますね。」菅原裕一と同化した藤ヶ谷による、台本を超えての真に迫る芝居の賜物と言えるだろう。
ロケーション
あらためて言うまでもなく、映画は舞台と異なりシーンとともに実景も変わっていく。本作においても、映画だからこそ実際に現地へと足を運んで撮影する──すなわちロケーションが各地で敢行された。コロナ禍であること、スケジュール的な問題、予算面なども考えると、遠方でのロケはリスクも伴う。だが、この作品にはどうしても必要なプロセスがあった。
「舞台では、ロードムービー的な物語を舞台上でどう見せるかという工夫が施されていましたが、映画は文字通りロードムービーとして、物理的に場所を移動していくことをしっかり見せようという話はしました。ですので、最初から実際に北海道まで行って撮るべきだと提案しました。コロナが拡がる中ではありましたが、東京から遠くない場所を北海道に見立てて撮る、ということではなく、リアルに時間をかけて長い距離を移動して撮ることが、大切だと考えていました。」(小西P)追いつめられた裕一が帰る北海道の苫小牧は、三浦監督の生まれ育った地でもある。いわば、自身にとって原風景でもあるわけだ。
「そこに強い思いがあったかと言われると、実はそういうことでもなくて。さんざん見てきた景色だったから切り撮りやすかったというのが、正直なところなんです(笑)。とはいえ、苫小牧独特の空気感が滲み出るような映像は撮れたのかなと思っています。何より、藤ヶ谷くん自身が苫小牧へ行って、菅原の生まれ故郷を体感してバックボーンを蓄積したことによって、その後の芝居においても役立ったように感じているんです。短い期間で本当にタイトでしたけど、ロケができてよかったと思っています。」(三浦監督)
「北海道ロケは4月だったのですが、真冬のようにものすごく寒かったです。肉体的にも精神的にも追い込まれている上、メチャクチャ寒い。そのことが雪の中を途方に暮れて歩く裕一の姿に更にリアリティがもたらされていると思います。」(小西P)リアルという点では、歌舞伎町のゴジラロードや東中野駅前といった都内各所も、すべて実際の場所をロケに使っている。
小西プロデューサーによれば、それも三浦監督たっての希望だったとのことだ。
「裕一が自転車に乗って逃げる東中野とか、新宿近辺とか……三浦監督は場所にこだわりを持っていて…。『娼年』でも“渋谷”“赤坂”など具体的に限定し〝ここ〟という場所を象徴的に指定してきます。そして実際にその場所で撮影することに拘ります。理由を聞いたことはないのですが場所のリアリティから生まれるものを大事にされているのでしょう。またラストシーンは新宿・歌舞伎町のゴジラロードで撮るということだけは、もう早い段階から監督の中ではっきりと決まっていました。これだけは絶対に譲りたくない、という意思を感じました」。 「脚本の段階で、具体的な場所のイメージを強く持って、執筆するので、どうしてもそこで撮りたくなる。『そして僕は〜』は実体験ではありませんが、やはり、自分の家の近辺が、ロケ地として真っ先に浮かんでくる。そこで撮影した方が、自分と主人公を同化でき、リアリティを持って演出できるということはあります。」(三浦監督)
余談だが、三浦監督が作・演出を手がけたオリジナルの舞台最新作『物語なき、この世界。』(’21)は、ゴジラロードに主人公が足を踏み入れる場面から始まっている。
音楽について
全編で流れる劇伴も各シーンに寄り添い、聴覚でも心にジワリと迫りくる。
「劇伴を担当されたのは内橋和久さんという方で、ご一緒するのは初めてだったのですが、すごく熱心に、編集する前ラフに繋げたものを見ていただいた時点で、ほとんどの曲をつけてくださって…。そこから引き算していった感じなのですが、音楽に引っ張ってもらって、編集していった感覚はあります。内橋さんが僕の作品のテイストをすぐ理解してくださって、音楽的な面で世界観を早い段階から作ってくれたので、すごく助かりました。いわゆるベタな感じじゃない、ちょっとはみ出したり抜け感もあったりして、そこら辺のバランスがこの作品の空気感に合っていたのかなと、あらためて思っています」その劇伴が浮き立たせる〝音像〟も、映画『そして僕は途方に暮れる』を深い味わいへといざなう要素の1つと言えるだろう。
最後に’80年代を実際に過ごした世代であれば、作品のタイトルから想起するのは、大澤誉志幸による同名のヒットチューンであろう。実は、三浦監督が舞台版の台本を執筆していた段階では、仮タイトルだった。が、あまりに「そして僕は途方に暮れる」という文言が作品の内容とフィットしていたことから“(仮)”が取れて、正式な作品名に。「三浦監督も私たちプロデューサー陣も楽曲としての“そして僕は途方に暮れる”を使用すべきかどうかは本当に悩みました。一世を風靡した名曲なだけに、それは期待通りなのか、予定調和なのか?実際にエンドロールに原曲を仮で当ててみたり、内橋さんの劇伴当ててみたりを何度も繰り返して。最終的に監督が出した答えは、内橋さんによる映画版のアレンジで大澤さんに歌唱をお願いすること。結果、大澤さんの歌入れを生で聴いて感動し、ようやく映画が完成することを実感しました。内橋さんの素晴らしいアレンジと快諾してくださった大澤さんに感謝の言葉しかありません。」(小西P)
映画版ではエンディング曲として伝説の楽曲「そして僕は途方に暮れる」を起用。新アレンジを加え、大沢澤誉志幸本人が歌唱し、深い余韻を残す。

逃げて、逃げて、逃げまくる。菅原裕一の逃避劇をたどる

  • 01彼女からの逃避

    「我慢できると思ったんだけど できないから言うね」

    ネタバレを読む
    同棲して5年の恋人・鈴木里美(前田敦子)に甘えて、気ままで気楽な生活をおくっていたものの、ほんの些細なことをきっかけに今後のことを話し合おうと迫られ、。ばつが悪くなった裕一は、とんでもない言い訳をしながら、その場しのぎで荷物をまとめて家を飛び出してしまう。
  • 02親友からの逃避

    「おかしくないか、人として!」

    ネタバレを読む
    幼い頃からの親友・今井伸二(中尾明慶)の部屋へ転がり込むが、居候の身にも関わらず我が家のようにくつろいで、夜中もテレビを見て笑う裕一は、わりと温厚な伸二をもキレさせる。関係がこじれるのが面倒くさい裕一は、またもさっと荷物をまとめて逃げ出す。
  • 03後輩からの逃避

    「めっちゃ怒ってんぞ」

    ネタバレを読む
    大学時代の映画サークルの先輩でバイト先も一緒の田村修(毎熊克哉)を頼るが、気をつかってばかりの会話や、酔って絡んでくるのに嫌気がさし、田村が寝たすきに脱出。
  • 04後輩からの逃避

    「人間関係を全部切ってるってことっすよね」

    ネタバレを読む
    サークルの後輩で映画の助監督として働いている加藤(野村周平)に何とかしてもらおうとするものの、「先輩、次はどこ行くんすか?」と先に言われてしまい、つい先輩として見栄を張ってその場を後にするはめに……!!
  • 05後輩からの逃避

    「いつまでそんなことしてんの」

    ネタバレを読む
    そりの合わない姉・香(香里奈)のマンションを訪ねるが、ダメっぷりをことごとく指摘され、逆ギレして香の部屋を飛び出す。
  • 06母からの逃避

    「ちゃんとしなさい!」

    ネタバレを読む
    広い実家で寂しく暮らす母が不憫になり同居する考えを話すも、「…じゃあ、ちょっとこれ見てもらっていい?」と母からの想像を超えるリアクションに、さすがの裕一も思わずドン引きしてしまう。
  • 07父との再会

    「俺の周りには誰もいなくなった」

    ネタバレを読む
    実家を出て途方に暮れる裕一が出会ったのは、かつて家族から逃げていった父・浩二(豊川悦司)だった。「俺の家に来るか?」。浩二の誘いに、裕一はスマホの電源を切り、いっさいの人間関係を断つのだが…。

行き着く先は天国か地獄か!?