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雨のにじみを
月のかすみを
雲のまあいを
丹精込めて
音訳してくれた
坂本龍一さん

その残照を浴び
音の余韻に身をゆだね
いつの間にか
共に輝いている私たち

生きて
閉じて
そして
つづくこと

これは
誰もが通る
いのちの旅の物語
内田也哉子
文筆家・無言館共同館主
さようなら。
大貫妙子
音楽家
どういう感想言えばいいのか難しく、
心が何と言えばいいのかわからない回転をする。
世界に素晴らしい宝物を届け続けた、奇跡の存在。
音楽家としても生き様としても、
ただただ、沢山の人に観てもらいたいです。
岡村靖幸
音楽家
お世話になった方が弱っていく姿を見るのは、
正直つらい気持ちになるような気がして、
なかなか向き合えませんでした。
それでも、病と向き合いながら音に向かうその姿には、
静かな強さと優しさがあり、死を拒むでもなく、
ドラマチックに受け入れるでもなく、
ただ淡々と観察しながら、他人を思う気持ちや、
ユーモアを失わずに生きているその姿から、
いつか迎える自分の死を想像し、
自分はどのようにあるべきかを考えさせらました。
沈黙や呼吸の音、物音が深く響く映画でした。
小山田圭吾
ミュージシャン
雨が屋根を打ち鳴らす音は、
まるで軽快なワルツのようです。
幕引きさえも、なんて優雅だったのでしょう。
あなたのいない世界はとてつもなく寂しい、
けれど、あなたの音楽がある。
そんな私たちはなんと幸運なのでしょう。
静寂の後に残るのは、果てしない余韻と耳鳴り。
高 妍 Gao Yan
漫画家・イラストレーター
どんなに至らずとも演奏するのは、
それを凌駕する感動に包まれているから。
奏でざるを得ないんだ。と、心が共鳴する。
死の淵にいてなお感動を露わにする姿にその生涯の必然を見た。
変わらない時の流れが音楽の悦びによって美しく深まる様を、
どれほど真摯に掬い紡ぎ続けたんだろう。
音楽への愛と、
その生き様を最後の最後まで記録する勇気が余韻となって教えてくれる。
彼が残さなかった音楽は、今ここに私たちと共にある。
草刈愛美
サカナクション
Ars longa, vita brevis
芸術は長く、人生は短し

坂本龍一さんが愛したラテン語一節。

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』は
創造と生命のドキュメンタリー映画。
静かに変転する時の流れが美しく、悲しさを誘う。
操上和美
写真家
カメラを見る目。
卵の薄皮のような柔らかい部分を、
最後に見せてくれようとした。
コムアイ
アーティスト
この作品には、晩年の坂本さんが本当に大切にしていた価値観が
ギュッと詰め込まれている。
坂本さんの作った曲が人々の心を動かしつづけるように、
より良い未来社会のための坂本さんの最期のコミットメントは、
私たちが引き継いでいきます。
斎藤幸平
経済思想家
自我から解放されて、子供のように自由に音と向き合う境地は、
病に侵されたからこそ、ようやく手に入れたもののようにお見受けしました。
音楽と書いて「おとらく」と読む。
「音が苦(おんがく) 」になっていた多感な10代の頃、
「おとらく」の愉悦を教えてくださったのが、教授の音楽でした。
最晩年、残された時間を意識して奏でるピアノの音は柔らかく、
緻密に計算された不協和音とは趣きの異なるミスタッチさえも尊く感じられました。
万死の床を見守る李禹煥さんのカラフルなドローイングは、
「雲のような響きの音楽」を集めた最後のアルバム『12』のカバーでしたね。
アートと文学と、音楽と。
最期はご自身の生き様そのものをアートになさった教授と、
壮絶な闘病の克明な記録をいとわなかったご遺族の覚悟と献身に、
深い敬意を表したいと思います。
中谷美紀
俳優
坂本さんは常に人類全体を見つめ、
対立や断絶を乗り越えるものとしての音楽やアートの力を、
未来へ繋ごうとされていた。
病床にあっても変わらず、
自身を取り巻く環境のうつろいに感性を研ぎ澄ませ、
穏やかでありながらも強い意志を持ち続ける姿に心を打たれる。
作中では、未完となった交響曲のデモが流れる。
雨、風、雲、石——自然の時間と
人間の時間が交差する一瞬の響きを留めるかのようだ。
まさしく、人生そのものが作品のような方であった。
名和晃平
彫刻家
坂本さんからの、音楽とはまた別の、
最後の贈り物を受け取った気持ちです。
西川美和
映画監督
いまだに現実味がなくて、
ピアノの音や雨の音に混じって坂本龍一さんが
どこかを漂ってくれているんじゃないか、と信じてしまいます。
この映画を観て、音楽のために命を繋いでいたんだということを明確に感じ取りました。
生きることで音楽が生まれるんだというシンプルな事実を、
理解しなければいけない。
坂本龍一さんが、確かに生きていたこと。
しっかりと心に落として、音に耳を傾ける。
のん
俳優・アーティスト
1人の偉業を成し遂げた音楽家が、病気を発覚し、
天に召される寸前までの刻一刻と変化していく心情が描き出されていた。
今、私が最も知りたい心情だ。
常に内側に向けられる自分との対話。徐々に弱まる体の機能。
生きる速度はゆっくりと減速していく。
生まれてから一度も休まず働いてきた身体の悲鳴を聞きながら、
最後まで“美しさの行方”を見つめ、生き切った教授。
その姿の背景には、身近な人の愛の気配を感じ、
人生そのものが儚い芸術のようにも思えた。
“生きている”という瞬間の中に、肉体が朽ちたあとに残る、
永遠の命をもった美の旋律を感じる映画でした。
野村友里
eatrip 主宰・料理人
日記を通して、私たちが知らない坂本龍一さんがいくつも現れてきます。
芸術を愛し、音楽を愛し、読書を愛し、自然を愛し、人間を愛する姿。
坂本さんは私たちの中でずっと生きているんですね。
いつでも出会える、
無限の機会があるんだと思います、私たちには。
蓮沼執太
音楽家
70年代に生まれた「テクノポップ」や「アンビエント」
といった新ジャンルの音楽を世に広め、
発信し続けた坂本龍一さんの死期を、当時20代だった大森監督が編む。
この距離感で、雨とピアノを通して映し出される偉人の最期のとき。
「逝き方」こそその人の「生き方」なのだと確信しました。
次世代の方々にもぜひ観て感じてほしい作品です。
松浦美穂
TWIGGY.主宰
坂本さん、あなたの存在は今もこの世界のどこかで脈打っています。
生の姿も、旅立ちの姿も、一貫して凛とした美しさに包まれていました。
そのすべてを見せてくれて、ありがとうございました。
どうか多くの人に、この生きるという行為の記録を見てほしいと思います。
真鍋大度
アーティスト・プログラマ・コンポーザ
哀しく、愛しく、そして美しい。
観ることで今後の生き方が変わってしまうような作品に出会ったことが
今までに何度かあるけれど、これこそがまさにそういう映画だ。
U-zhaan
タブラ奏者
闘病とともに余命を告げられたとしたら、
人間はいかにその運命と対峙していくのか?
およそ全ての人間が恐怖するその時間を、
これほど丁寧に真摯に生きる人間たちに伝えようとしてくれた有り難さに圧倒される。
坂本さんに誘われて遊びに行ったヴェネチア映画祭の深夜、
酩酊しつつひとり帰途についた船上タクシーから
のぞき見た満月下の黒い海面とエンジン音との、
目と音と体感による本当に特別だった時間のことを思い出した。
氏の晩年の「音楽」はそういうことの表現だった。
湯山玲子
著述家
坂本龍一さんは、真に生きた芸術家です。
絶えず感じながら考えながら行為するが、
それが何か見えない大きな知の力の働きのようだった。
そして晩年になるにつれ、もっと単純なもっと直感的な音、
つまり始源的な表現になった。
それは自分の呼吸、自然のリズムの交流が放つ、
とても新鮮に輝くものでした。
この映画を見ながら、彼の生をもう一度思い起こしました。
李禹煥
美術家


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