INTRODUCTION
クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米アカデミー作品賞、監督賞ほか4部門を受賞した傑作西部劇「許されざる者」(1992)を、「フラガール」「悪人」の李相日監督のメガホンで日本映画としてリメイク。江戸幕府崩壊後の明治初期、北海道開拓時代の歴史の中で、かつて「人斬り十兵衛」と恐れられていた男が、再び戦いに身を投じていく姿を描く。

STORY
日本最高のスタッフ&キャストが、米アカデミー賞(R)最優秀作品を再生。
伝説の「人斬り」が、再び刀を抜き放つ―。
男たちの覚悟が、女たちの意地が、感情の臨界点を超える。
舞台は1880年、北海道。主人公は、幕府軍の残党で、かつては〝人斬り十兵衛〟と恐れられた男。愛する妻と出会い、刀は棄てたはずだった。しかし、妻亡き後、幼い子供たちと極貧の生活にさらされる日々のなか、昔の仲間が〝賞金首〟の話を持ってやって来る。客にずたずたに切り刻まれた女郎が、街を牛耳る暴力的な支配者に逆らって、自分たちで貯めた金を賞金に敵を討ってほしいと懇願しているというのだ。自分のためなら二度と手にすることのなかったはずの刀を、男は再び抜き放つ。それゆえに背負うことになる罪も、痛みも、孤独も、すべて黙って引き受けて。
子を思うとはかくも切ないものなのか。女たちの誇りとはかくも気高く残酷なものなのか。友を弔うとはかくも凄まじい所業なのか――。
強くもあり、弱くもあり、美しくもあり、醜くもある人間の、最後の祈りに、心が、震える。