INTRODUCTION
声優をめざすアニオタ女子、という現代っ子を演じた堀北真希。親に無関心だった麦子が母の青春に巻き込まれ、やがてひとりの女性として成長していく道のりを等身大で演じ、今までにない彼女の一面に驚きながら、麦子とともに母への想いをスクリーンで体感することができる。そのリアルさや自然さを引き出しているのが、頼りないながらも長男らしい優しさをたたえ、その圧倒的存在感で映画界を牽引する松田龍平。明るく振る舞う裏に哀愁を隠し、無償の愛で麦子を包み込もうとする母に余 貴美子。そして母の故郷で麦子を迎え入れる人々を、麻生祐未、温水洋一らが固め、朗らかな笑いにホッとして、最後には思いがけない涙で包まれていく―。

STORY
とある田舎の小さな駅に降り立った一人の女性、小岩麦子(堀北真希)――。アニメショップでアルパイトをしながら、声優になることを夢みている彼女は、亡くなったばかりの母の納骨のために、初めて母の故郷にやって来た。
そこで彼女は出会う人から、次々に「彩子ちゃん!?」と声をかけ
られる。彩子とは、彼女の亡くなった母のこと。若き彩子の姿に瓜二つである麦子の登場に、町の人々が一気に色めき立つことになる。
なぜなら、数十年前、彩子はこの地のアイドル的存在であり、町中の憧れの的だったのだ。偶然にも駅で麦子を乗せたタクシー運転手の独身男・井本(温水洋一)や、妻の夏枝(ふせえり)とともに旅館を営む春男(ガタルカナル・タカ)など、母のファンや母のストーカーそして母の親友⋯いい大人たちが誰もが青春時代の続き、と言わんばかりに、麦子の周囲で騒動を巻き起こす。だが、麦子にとっての彩子は、幼い自分と現在パチンコ店で働く兄・憲男(松田龍平)を捨てて出て行った、最低の母親に過ぎなかった。