INTRODUCTION
クリント・イーストウッドの長い監督キャリア史上、最大のヒットとなった名作「アメリカン・スナイパー」の次に選んだのは「ハドソン川の奇跡」。未曽有の航空機事故からの生還劇の裏に隠された実話だ。
前作で戦場という極限の状況下における兵士の人間性を鋭く優しく見つめた巨匠が、その視点で新たに問いかける真実の裏側。確かな経験に裏付けられた機長の決断。乗員乗客全ての命を救った英雄への厳しい追及。それでも折れない不屈の信念と、決して揺らぐことのない機長サリーの人間性を描き出す。

STORY
2009年1月15日、極寒のニューヨーク上空850mで155名を乗せた航空機を突如襲った全エンジン停止事故。
160万人が住む大都会の真上で、制御不能の70トンの機体は高速で墜落していく。
近くの空港に着陸するよう管制室から指示がある中、機長サリーはそれを不可と判断し、ハドソン川への不時着を決断。事故発生からわずか208秒の事だった。
航空史上誰も予想しえない絶望的な状況の中、技術的に難易度の高い水面への不時着を見事に成功させ、”全員生存”の偉業を成し遂げる。
その偉業は「ハドソン川の奇跡」と呼ばれ、サリーは一躍英雄として称賛される―はずだった。
ところが機長の”究極の決断”に思わぬ疑惑が掛けられてしまう。
本当に不時着以外の選択肢はなかったのか? それは乗客たちを命の危険に晒す無謀な判断ではなかったのか? 事故調査委員会による度重なる追求は、サリーを極限まで追い詰める……
「救ったのに、なぜ?」
待ち受ける試練。突然孤立した彼を支えてくれるのは、数少ない仲間と、心から愛する家族だけだった――。