INTRODUCTION
マイルズ・テラー×アーロン・エッカート、最強の競演再び!伝説のボクサー《ビニー・パジェンサ》の魂震わす実話。

「お前の意地を見せてみろ。お前の生き様を」

世界のスポーツ史上類をみない超人的なカムバックを目指した伝説のボクサーがいる。男の名はビニー・パジェンサ。元世界チャンピオンの彼は、重大な事故にあい再起不能といわれながらも再び王者に返り咲く――まさに自分を信じる男だ。そんな彼の半生を描いた『ビニー/信じる男』は、まるで氷の炎のように凄まじい彼のハングリー精神にフォーカスしたドラマティックかつスリリングな真実の物語。巨匠マーティン・スコセッシが製作総指揮を担い、『マネー・ゲーム』のベン・ヤンガーが脚本・監督を手掛ける。主演に『セッション』で狂気の熱演で世界中にセンセーションを巻き起こしたマイルズ・テラー、さらに彼のトレーナー役として『ハドソン川の奇跡』のアーロン・エッカートがタッグを組む。夢という甘い言葉では語りつくせない――、どう生きるべきかと全身を奮い立たせ訴えかけてくる――、魂の純粋さ、生命の輝き、挑む者の熱量がこの映画には力強く漲っている。一人のカリスマの波乱万丈な人生が、自分を信じることの偉大さ、それがいかに生の躍動となるかを教えてくれる感動作となった。

アメリカ、ロードアイランド州プロビデンス。スター選手を金づるにし嘘と欲望が渦巻くボクシングの世界。自惚れ屋のビニー・パジェンサは、世界ジュニアミドル級のチャンピオンだ。ある日、交通事故で首を骨折し瀕死の重傷を負う。その痛々しい姿に、誰もがビニーの選手生命は絶たれたと思い、金目当てで近づいてきていた人間たちは離れていく。だがビニーは諦めていなかった。彼は命を懸けトレーナーのケビンと共に、どん底から王座奪還をめざす。

アカデミー賞®候補となった『セッション』(14)で批評家から絶賛を受け注目されたマイルズ・テラーが、ビニー・パジェンサ役を演じる。彼は8カ月間かけ85キロだった体重を76キロ、体脂肪19パーセントから体脂肪6パーセントまで落としボクサーの体格作りをし、魂から湧きあがるような熱演を披露した。また、偉大なボクシング映画のほとんどの作品に、偉大なトレーナーがー登場しているように――『シンデレラマン』(05)のポール・ジアマッティ、『クリード チャンプを継ぐ男』(15)のシルヴェスター・スタローン、『ロッキー』(76)のバージェス・メレディス――本作では、マイク・タイソンを世界チャンプに押し上げた伝説のトレーナー、ケビン・ルーニー役に、アーロン・エッカートが挑んだ。世間的には終わったといわれ続けた二人がタッグを組み、最強の力を生み出したのだ。さらに、次々と傑作を世に送り出してきた巨匠マーティン・スコセッシが脚本に感動し製作総指揮としてプロジェクトに加わり、『アメリカン・ビューティー』『世界にひとつのプレイブック』を手掛けたブルース・コーエンがプロデューサーを務める。

ビニー・パジェンサは、2004年に現役を引退した1962年生まれのアメリカ合衆国ロードアイランド州出身のプロボクサーで、第5代IBF世界ライト級王者、第26代WBA世界スーパーウェルター級王者、世界2階級制覇王者など数々のタイトルを取ってきた。首の骨を折り脊椎固定手術を受けて、歩けるようになることですら奇跡の中、誰も彼の再起を信じなくても彼だけは自分を信じて復帰を諦めなかった。かつて5つのチャンピオン・タイトルを獲得したビニー・パジェンサ本人は本作を観て「これは作り物じゃなく本物の『ロッキー』なんだ」と涙したという。ほとんど不可能な状況の中、最高のカムバックを果たした並外れたエネルギッシュな人物の物語は、観る者に生きる力を与えることだろう。

STORY
ロードアイランド州出身の自惚れ屋のボクサー、ビニー・パジェンサ(マイルズ・テラー)別名“パズマニア・デビル”は、スーパーライト級チャンピオンのロジャー・メイウェザーに滅多打ちにされ、プロモーターのルー・デュバ(テッド・レヴィン)から引退を勧告される。

それをきっかけにビニーは、実力はあるが飲んだくれのトレーナー、ケビン・ルーニー(アーロン・エッカート)の元、無謀にも2つ上の階級に挑む。ケビンの徹底したトレーニングが功を奏し、地元の人々が見ている前でフランス人ボクサーのジルベール・デュレを下し、世界ジュニアミドル級チャンピオンになる。

だがビニーはその試合のすぐ後、正面衝突の交通事故を起こし、首を骨折し瀕死の重傷を負ってしまう。医師たちからは、二度と歩くことはできなくなるかもしれないため、脊椎を固定する手術を勧められる。だがその手術を受ければ体を動かすことはできるようになるが、ボクサーとしての再起は不可能になってしまう。ビニーは、遥かにリスクの高いハローという脊椎固定手術を受け、半年間も頭の回りに金属の装具を付けて過ごす。

気性は荒いが献身的な父親のアンジェロ(キアラン・ハインズ)と心配性の母親ルイーズ(ケイティ・セイガル)と共に彼は穏やかな日々を過ごす。ビニーの周囲の人間たちは、彼はもうリングに立つことはないだろうと思っていた。離れていくプロモーターやガールフレンドたち。だが、ビニー本人はベッドにただ横たわるだけの命の使い方に疑問を抱いていた。ビニーはケビンを説得し密かにトレーニングを始める。しかしそれが父アンジェロに見つかり、ビニーとケビンは激しく非難されてしまう。愛する家族の反対にあいながらも、ビニーはトレーニングを続ける。

そして事故から1年が過ぎた頃、彼は生涯で最も大きな試合となるスーパーミドル級チャンピオンのロベルト・デュラン(エドウィン・ロドリゲス)との対戦のために再びリングを目指す――。