INTRODUCTION
17世紀オランダ。ある肖像画に秘められた禁断の愛―
世界的ベストセラー小説を映画化!
「フェルメールの絵画の世界を小説にしたい」と願った作家が、肖像画のモデルとなった女性と禁断の恋におちる画家の物語を書き上げた。作家の名はデボラ・モガー、日本でも大ヒットした映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』の原作者だ。
物語の舞台は、スペインから独立して経済的な繁栄を極め、「黄金時代」と呼ばれた17世紀のオランダ。
好景気に浮かれた人々は、投資や収集に熱をあげていた。なかでも“絵画”と“チューリップ”が2大ブームだった。レンブラントやフェルメールが輩出され、アートが進化を遂げたこの頃、財を成した者たちは、自分たちの成功を形として残すために肖像画を発注し、邸に飾る風景画や風俗画を買い求めた。一方のチューリップは、縞模様などの希少な品種なら、球根1個が邸宅1軒分に相当し、まさに“チューリップ・フィーバー”を巻き起こしていた。
そんなドラマティックな時代を背景に、フェルメールの絵画から抜け出してきたような登場人物たちが巻き起こす“愛の事件”の顛末に、絵画ファンとミステリーファンが熱狂し、世界各国でベストセラーを記録。『エリザベス』でアカデミー賞®にノミネートされた名プロデューサー、アリソン・オーウェンが権利を獲得し、映画化が実現した。
STORY
親子のように年の離れた、裕福なコルネリスと結婚したソフィア。二人の間に燃えるような愛はなかったが、孤児となり修道院で育った彼女にとって、それは初めて味わう豊かで安定した暮らしだった。夫は優しく特に不満もなかったが、彼が切望する跡継ぎができないことが、唯一の悩みだった。そんな中、夫が夫婦の肖像画を、無名の画家のヤンに依頼する。
キャンバス越しに見つめ合うヤンとソフィアが、恋におちるのに時間はかからなかった。若く情熱的な画家と、許されない愛を貫きたいと願ったソフィアは、驚くべき計画を思いつく。恋人に去られた後、妊娠に気づいたメイドのマリアの子を、夫の子として自分が“産む”のだ。彼女の書いたその先の筋書きは、耳を疑う展開だった。前代未聞の“替え玉出産”は成功するのか? さらにヤンが二人の未来のために、希少なチューリップの球根に全財産を投資したことから、思わぬ運命が立ちはだかる─。