INTRODUCTION
絶望の思春期を突き進む、
超〈変態〉狂騒劇!

原作は、『スイートプールサイド』や『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』など、映画化が続く押見修造の代表作「惡の華」。「別冊少年マガジン」(講談社)にて、創刊号(2009年10月号)から2014年6月号まで連載され、2013年にTVアニメ化、2016年には舞台化もされた人気マンガ。〈中学編〉と3年後の〈高校編〉からなる、思春期の暗黒面をえぐり出した衝撃作は、当時はもちろん現在に至るまで熱狂的な共感と支持を集め続けている。

脚本は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』など瑞々しいタッチで青春を描き続ける岡田麿里。
監督を務めるのは、『片腕マシンガール』や『電人ザボーガー』などカルト&ファンタスティックな作品を作り続けてきた井口昇。原作の最初の数ページを読んだだけで「この作品を映画にするために、映画監督になったのではないか」という直感と衝撃を受け、自ら実写化に向けて奔走した。

思春期とは、つくづく厄介な時期である。渦中にいるときは苦しく、しかも、思い出すには羞恥がともなう。
しかし、その通過儀礼を経ずに大人になると、また違う困難に見舞われるから悩ましい。
映画『惡の華』は、そんな思春期に、今、苛まれているすべての少年少女と、かつて思春期に苛まれたすべての少年少女に捧げられた作品である。

STORY
山々に囲まれた閉塞感に満ちた地方都市。中学2年の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった・・・。
仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。
そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう・・・