欲望のすべてを狩り尽くせ

世界は遠い昔、戦火にのまれて消えた。今残っているのは、魔物たちが棲む“ロストラン
ズ”だ。人間たちは一つの都に避難したが、そこに謎の魔女グレイ・アリス(ミラ・ジョヴ
ォヴィッチ)が現れる。民衆を支配する教会はアリスを悪魔だと糾弾し死刑を宣告、処刑人
のアッシュ(アーリー・ジョヴァー)がアリスを絞首台にかける。だが、眼差し一つで人心
を操れるアリスは、アッシュの手からも逃れるのだった。

対価さえ払えば、どんな願いも叶えてくれるというアリスに、愛と権力に飢えた王妃メ
ランジュ(アマラ・オケレケ)が、ビーストに変身できる最恐の力を手に入れるよう依頼す
る。誰の願いも拒めないという宿命を背負うアリスは、6 日後の満月までに叶えると約束
する。

ロストランズに棲むという、獣に変身する“変化者”を殺し、その力を奪うことにしたア
リスは、ロストランズを旅するハンター、ボイス(デイヴ・バウティスタ)を案内人として
雇う。ボイスが言うには、変化者の名はサルドール、住処はそこから戻った者はいないと
いうスカル・リバーだ。二人はこの世で最も危険な地を目指して旅立つ。

一方、教会からの支配を毅然と拒むアリスは、自由と反抗の象徴として民衆の英雄とな
りつつあった。教会の総司教(フレイザー・ジェームズ)はアッシュに、どんな手を使って
もアリスを捜し出し殺すよう命令する。さらに、王妃がアリスを訪ねていたという情報を
得た総司教は、証拠をつかんで王妃も異端者として処刑し、病に倒れた瀕死の王と共に一
気に失脚させ、自身が権力を手中におさめようと目論む。

波乱に満ちた旅路で、信用できる相手かどうか、互いに探り合っていたアリスとボイス
は、自分たちが孤独な魂を抱えた似た者同士だと気づく。予測不能な攻撃を仕掛ける魔物
たちとの戦い、アッシュが率いる武装軍団との死闘のなか、新たな絆を結び始める二人。
そして満月の夜、ついにスカル・リバーに辿り着いたアリスとボイスに襲い掛かる呪われ
た運命とは──?