映画『木の上の軍隊』 映画『木の上の軍隊』

COMMENT

(敬称略/順不同)

ガジュマルの木の上で長い時を過ごした二人の兵隊に、
一体どんな音が聞こえていたのだろう。
二人の間には怖いほどの沈黙が続く。
まさに気の狂った時代を描いたこの作品のなかのその深い静寂から、
多くの沖縄の叫び声が痛いほどに響いた。
たしかにその場に居たかのような感覚だ。

歴史が刻んだ多くの傷跡を、「私たち」の記憶として、
今にそしてこれからへ、
しっかりと繋ぎとめなければならない。

スクリーンを見つめながら、ずっと考えていた。

栗山民也 [ 演出家 ]

舞台では木の上の二人を客席から観察するという視点でしたが、映画はまさに自分も木の上にいて、木の上からの景色を目にして、
そして失われたものと生まれたものを共に体験する感覚になります。
二人の兵士の闘いは最も近くにいるもう一人の兵士との闘いでもあります。
価値観との共生や対立。それこそが戦争そのものであり、
だからこそ二人が辿り着いたラストシーンは、希望でもあり、
祈りでもあるのだと感じました。

蓬莱竜太 [ 劇作家 ]

心が締めつけられました。そうだ、これが戦争なんだと思い知らされました。
2人が過ごしたあの2年間は意味のない時間だったんだろうか?
懸命に生きる2人の姿に、人として最も大切なことを感じました。

仲間由紀恵 [ 俳優 ]

悲しすぎる。辛すぎる。
80年前に本当にあったという事実。今も何処かで行われているという事実。忘れてはいけない真実。
俺たちは、自分に無いものを誰かから奪うということから、
今ここにある当たり前の日常を、
何より幸せだと感じられることが出来るだろうか。
きっと変われる。映画の力を信じている。

桐谷健太 [ 俳優 ]

飢えや孤独が"生きる"という3文字を何度も何度もかき消そうとしていく中で、お二人の生き様が心を掴んで離しませんでした。
そしてガジュマルが、まるで優しい神様のようにそっと力強く根を張り二人を包んでいる。
なんだかそれにすら泣けてきてしまいました。
生きることとは、明日を迎えるという願いは、当たり前ではなく奇跡なんだと。改めて感じました。
僕自身も戦争を表現していた中で、仲間である山田裕貴くんの想いが
自分と繋がった気がして嬉しかった。
今この時代に必要な作品です。
お二人が本当に最後まで素晴らしかったです。

北村匠海 [ 俳優 ]

事実を元に構成された映像に天国にいるおじい、おばあに命を選択して繋げてくれた事に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
木の上に2年という生活も人間が自然に生かされている事を改めて感じる中、山田裕貴さんをはじめキャストの皆さんの
感情を剥き出しにする目だったりその一言一言が今の僕の心に響くものばかりでした。
軍艦で埋め尽くされた黒い海や砲弾で消えた緑や花々は今の沖縄にはありません。
あの時生きたかったみんなの夢が今日の沖縄なら
僕たち世代は次の世代に何を残せるのか。
これからもHYは音楽を通して愛を届けていきます。
主題歌は同じ沖縄出身のAnlyさん!歌い始めも歌詞も最高でした。
キャストさんのウチナーグチ(沖縄なまり)もすごく上手で沖縄県民は特にストーリーに入り込みやすいと思います。
たくさんの方々にこの映画と愛を。

名嘉 俊 [ ミュージシャン・HY ドラム ]

木の上で繰り広げられるふたりの兵士の迫真の会話劇。
戦闘シーンはほとんどないが、戦争の悲惨さ、愚かさに胸をえぐられる。
「なんでここで戦うんですか」山田裕貴さん演じる新兵の叫びは、
戦後80年のいまこそ心に刻むべき問いだ。

武田真一 [ フリーアナウンサー ]

空えぐみ
[ 漫画家/「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」 ]

この映画のセリフが、幼い頃に聞いた祖母からの言葉を思い出させた。

「海が…真っ黒だった」

同じ言葉だった。

何年経ったとしても忘れちゃいけないことがある。
憎しみや悲しみではなく、未来に繋いでくれたという事実。

多くの犠牲となったあの頃の人達が繋いでくれたから、
ボクらはこうやって生きている。

GACKT [ アーティスト ]

戦争を一括りにして語ることはできない
ひとりひとりに
”それぞれの戦争”が存在するから…
この映画をご覧になって

”あなたにとっての戦争”を見定めてほしい

宮沢和史 [ シンガーソングライター ]

帝國陸軍の鬼上官と地元出身の兵卒は樹上に潜伏している。
敵のゴミをあさり、来るはずのない援軍を待っている。
誇りも希望もすでにない。

樹の下の故郷も人々も、もう元には戻らない。
ただ、夢に見る、失った日々だけが眩しく輝く。
その輝きが、わたし達の心をいつまでもどこまでも、まっすぐ照らす。

誰のその日々も奪わせぬように、誰のその日々をも奪わぬように、
ずっとわたし達を照らしておいておくれ、と観て以来願っている。

こうの史代 [ 漫画家/「この世界の片隅に」 ]

知らなかった人生を知り、彼らに思いを馳せることができた。
そのことに感謝。

忘れられない映画になった。

私たちが知るべき物語はまだまだたくさんあるんだなぁ。
志高い映画ではあるが、困ったことに、
これがかなりなんだかそこはかとなく面白い。
まいりました。
沖縄に行ったら、木の上に二人を探してしまいそうです。

岡田惠和 [ 脚本家/「ちゅらさん」 ]

幼い頃、ガジュマルの木によく登って遊んでいました。
いつも優しくどっしりと立っている
ガジュマルの木のパワーは本当に凄まじく、
その木の上で2年間も戦い続けた2人の男の姿は、
決して他人事とは思えませんでした。
戦争はまだ終わっていない。
わたしたちが平和な世界に帰ることができるのはいつになるのだろう。
そんなことを考えながらこの映画を見終えても、まだ答えは出ず、
一生考え続けるのだろうと思いました。

真実を伝えたこの作品が、
1人でも多くの人に届いてほしいです。

黒島結菜 [ 俳優 ]

「木の上の軍隊」
私たちがもっとも知っておかなくてはならない

“歴史の不条理”を見事に映画化したすばらしい作品です。

主役の2人の絶望的な追い込まれ方は呼吸を忘れる。
現実的な時間を忘れる。
映画を作る仲間で一番“末っ子”の平一紘監督が
世界的に誇れる志の高い作品を世に放ちました。
誇らしいことです!

堤 幸彦 [ 映画監督・演出家 ]

強者に弱者は奪われ、それをより強い者が支配していく。
昔から変わらぬヒエラルキー。
だから人類はルールを作った。
しかし欲は尽きぬ。破られる約束。争いの扉が開く。
樹上での絶望、僅かに生まれる希望、そして確信に変わる絶望。
立場の違う2人。使命感を拠り所に耐えるか、愛する家族を生き甲斐に息をし続けるか。
疑い始める戦争の意義。忠誠の大切さ、虚しさ。

国とは故郷とはなんなのか? 2人の問いに耳を傾けて欲しい。

ガレッジセール ゴリ [ お笑い芸人・映画監督 ]

伊江島の美しさが際立つ映像、戦争のリアルな描写、
時折差し込まれるユーモアが作品に人間味と温かさを与えている

…ぬぬぬ素晴らしい!

監督、そして沖縄のスタッフに拍手!

SABU [ 映画監督 ]

戦争は人間を壊す。
戦争に壊された人間は、人間であることをいかに取り戻すのか。

わずかな可能性を確かめ合う姿に希望と絶望が混ざり合っている。

武田砂鉄 [ ライター ]

戦時下における究極の状況で
2人は木の上で何を感じていたのか。2年間という時は何をもたらしたのか。
意図せず変わってしまう自分に恐怖を感じ、安心する事に罪悪感を覚え、まともな日々に向かう度に
仲間を思い出す。
戦争は決して終わっていない。

「生きる」ことが浮き出る映画。
そこには本物しか残っていませんでした。

ウエンツ瑛士 [ 俳優・タレント ]