THEATER

TRAILER

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本予告(100秒)

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本予告(60秒)

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ショート予告(30秒)

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15秒スポット①

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15秒スポット②

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本編映像①ホアキン・フェニックスが米国各地の子どもへインタビュー!

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本編映像②ホアキン・フェニックスの読み聞かせ

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日本語字幕付き本国予告

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ryuchellさんメッセージ映像

INTRODUCTION

突然始まった甥っ子との共同生活
戸惑いと衝突、想定外から生まれた奇跡の日々

NYを拠点にアメリカを飛び回るラジオジャーナリストのジョニーは、LAに住む妹が家を留守にする数日間、9歳の甥・ジェシーの面倒を見ることに。それは彼にとって、子育ての厳しさを味わうと同時に、驚きに満ち溢れたかけがえのない体験となる。それぞれの孤独を抱えたふたりは、ぶつかりながらも真正面から向き合うことによって、新たな絆を見出していくー。

名優ホアキン・フェニックスが、
『ジョーカー』の次に選んだ心温まる物語

『ジョーカー』で狂気を見事に体現しアカデミー賞®主演男優賞に輝いたハリウッドの名優ホアキン・フェニックスが、次なる出演作に選んだのは、狂気のイメージを覆すこんなにも優しい物語だった。「共感できる瞬間や感情がたくさん描かれている」と脚本に惚れ込んで、本作への出演を決めたというホアキンだが、そんな名優に引けを取らない天才ぶりを見せているのが、英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど注目の新星ウディ・ノーマンである。撮影中は、役を完全に理解しているウディの演技を受けて反応するだけでよかったと語るホアキンとウディの微笑ましい掛け合いは、本作最大の見どころである。
自身の子供をお風呂に入れている時に着想を得て、監督・脚本を手掛けたのは、クリエイターからも絶大な支持を得ているマルチアーティストのマイク・ミルズ。『ムーンライト』『レディ・バード』『ミッドサマー』など話題作を世に送り出し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの映画会社A24と、『20センチュリー・ウーマン』に続く2度目のタッグが実現した。

子供たちの目に映る風景と子供たちが語る未来

本作には、ラジオジャーナリストのジョニーによるインタビューというドキュメンタリータッチのシーンを通じて、実際に取材した9〜14歳の子供たちの生の“声”が挿入されている。自分たちが住んでいる街について、現在の生活について、世界について、そして未来について率直に語る彼らの言葉は、「今、現実社会で起こっていること」を生々しくもパワフルに伝える。このインタビューシーンは、ジョニーとジェシーの親密さについての物語と呼応して「すべての大人は子供と彼らの未来に責任がある」という強いメッセージを発している。

美しいモノクロ映像で綴られる、
4都市をめぐる現代の“寓話”

物語の舞台は、デトロイト、ロサンゼルス、ニューヨーク、ニューオリンズ。ヴィム・ヴェンダースの初期のロードムービー『都会のアリス』にインスパイアされたミルズは、歴史も風景もまったく異なるアメリカの4都市をめぐるジョニーの旅を、“ドキュメンタリー性を盛り込んだ寓話”として表現するという意図から、モノクロにこだわった。撮影監督に抜擢されたのは、ヨルゴス・ランティモス監督の『女王陛下のお気に入り』でアカデミー賞®撮影賞にノミネートされたロビー・ライアン。生き生きとした軽やかなモノクロの映像美は、現実世界と寓話を見事に調和させている。また、サウンドトラックには、ミルズ監督が短編映画を手掛けたこともある人気ロックバンド、ザ・ナショナルのアーロン・デスナーとブライス・デスナーが参加。気鋭クリエイターの結集にも注目が集まる。

STORY

NYでラジオジャーナリストとして1人で暮らすジョニーは、妹から頼まれ、9歳の甥・ジェシーの面倒を数日間みることに。LAの妹の家で突然始まった共同生活は、戸惑いの連続。好奇心旺盛なジェシーは、ジョニーのぎこちない兄妹関係やいまだ独身でいる理由、自分の父親の病気に関する疑問をストレートに投げかけ、ジョニーを困らせる一方で、ジョニーの仕事や録音機材に興味を示し、二人は次第に距離を縮めていく。仕事のためNYに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが…

CAST
ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)/ジョニー役
ウディ・ノーマン(Woody Norman)/ジェシー役
ギャビー・ホフマン(Gaby Hoffmann)/ヴィヴ役
モリー・ウェブスター(Molly Webster)/ロクサーヌ役
ジャブーキー・ヤング=ホワイト(Jaboukie Young-White)/ファーン役
マイク・ミルズ監督

1966年、カリフォルニア州バークリー生まれ。
アディダス、ナイキ、ギャップなどのCMやエール、ブロンド・レッドヘッド、パルプなどのミュージック・ビデオを監督。また、ソニック・ユースやビースティ・ボーイズのレコード・カヴァーのデザインも手掛け、グラフィックアーティスト、デザイナーとして1990年代のニューヨークのカルチャーシーンで活躍。2005年、『サムサッカー』で長編映画監督デビュー。自身の体験を基に父と子の関係を描いた『人生はビギナーズ』(10)では、同性愛をカミングアウトした父親役を演じたクリストファー・プラマーが第84回アカデミー賞助演男優賞を獲得。同作は数々の映画賞で高く評価され、ゴッサム・インディペンデント映画賞では作品賞を受賞した。続く『20センチュリー・ウーマン』(16)は、批評家・観客の双方から称賛され、アカデミー賞脚本賞にノミネート。自身初の快挙となった。また、07年に制作した長編ドキュメンタリー『マイク・ミルズのうつの話』では、日本の文化に抗うつ剤が導入されたことをめぐる問題を探り、現代社会が抱える問題を描き上げた。なおザ・ナショナルの8枚目のアルバム「I Am Easy To Find」の発売にあわせてリリースされた、同名の短編映画の監督を務めている。

<Filmography>

『サムサッカー』/監督(2005)

『マイク・ミルズのうつの話』/監督・製作(2007)
『ビューティフル・ルーザーズ』/出演(2007)

『人生はビギナーズ』/監督・脚本(2010)

『20センチュリー・ウーマン』/監督・脚本(2016)

CREW
マイク・ミルズ監督
PRODUCTION NOTES

マイク・ミルズ監督が目指したもの

ひとりの男がひとりの子供と人と人として向かい合ったときに生まれた、奇跡のような瞬間を描いた本作の出発点は、映画作家でアーティストであるミランダ・ジュライとの間に生まれた、子供ホッパーを「お風呂に入れているとき」だったという。『人生はビギナーズ』では、監督自身の父親との関係、『20センチュリー・ウーマン』では、母親との関係が物語のベースになっていることはよく知られているが、本作は、父親となり子育てを通じて経験した、数々の“想定外”の出来事にインスパイアされたストーリーである。「僕にとって良い映画を作る唯一の方法は、自分がよく観るもの、知っていること、関係性があることについて作ることだと思っている。その後で僕(父親)から切り離し、伯父という設定を思いついて、とてもしっくりきたんだ。それも子供がおらず、子育てをゼロから学ばなければいけない伯父という、意図していなかった流れまで生まれた。バスター・キートン的だよね。自分でも何をしているのかさっぱり分からない人間が、あらゆる経験をしていくんだ」と監督は語る。

ジョニーとジェシーは楽しい時、悲しい時、静かな夜、驚くような日を一緒に過ごすことで、次第に信頼関係を築いていく。不安を抱えながらも、言いにくいことを言い、真摯に向き合って、2人はお互いの結びつきを強いものにしていく。彼らが心を通わせるようになるにつれ、この繊細な物語は、さらに大きなテーマに触れることになる。我々一人ひとりが住む個々の小さな世界と、共に生きている大きな世界との間にある、つながりである。監督にとって子育てを通して個人的な不安や達成感について書くことは、21世紀初頭のアメリカにおける若者の複雑な生活の一部を記録することと絡み合っているのだ。それは子供たちが、途方に暮れた大人たちから今の時代の危険性を受け継ぐからだ。「父親になったことで、これまでよりさらに遠い未来まで見つめるようになった。しかも、昔よりも、未来について懸念するようになった。子供を愛していたら、政治と繋がりを感じているし、それから世界の暴力や、歴史について、考えないわけにもいかない」

そのことを描くための理想的な映画の構成として、ヴィム・ヴェンダース監督の『都会のアリス』のようなロードムービーのスタイルを思いついた。「早いうちから、僕は本作を『都会のアリス』のテーマに自分なりのアレンジを加える“ブルース・リフ ”のように考えていた」と監督は語る。「僕もヴェンダースのように子供のキャラクターを、どんな大人でも持っている意志や悩みや欲求や恐れを持つ人間として表現したいと思っていたからだ」

親密さがカギとなるキャスティング

長年ホアキンと一緒に映画を撮ることを熱望していた監督は、「(ホアキンが)映画に出てくれるのか実際の撮影が始まるまで全く分からなかった」と振り返る。出演オファーを受けてもらうまでに、2人は何か月もかけて台本を一緒に読んだんだという。「時には4~5時間かけて各シーンを演じた。ホアキンがジョニー役で、僕がそのほかのすべての役を演じながら、物語を検証し一緒に台本を練り上げていった。その中で、お互いの経験や考えについても語り合った。子供とは、大人とは、家族とは、兄妹ってどんなものかってことをね」
そして、実際に撮影に入るとホアキンの見事な感情表現と、内面とカメラの間にある壁を取り除く力に何度も驚かされた。「この作品でホアキンは新境地を見せていると思う。フィクションの人物に変身するのではなく、自分に近い行動を自然に反映させるのは、最も難しい演技だよ」と監督はコメントする。

役作りとしてまずホアキンは、ジョニーの仕事、つまり全国を旅しながらのインタビューの仕事に入り込むことから始めた。最も参考にしたのは、ジョニーの同僚であるロクサーヌ役を演じるモリー・ウェブスターで、彼女の本職はニューヨーク・シティのラジオラボの特派員である。ホアキンは、モリーのロサンゼルスでのインタビューに同行し、音響機器の扱い方を学び、映画の中で実際に子供たちへのインタビューを行った。役作りに夢中になったホアキンは、監督に「ジョニーがベッドでジェシーと、その日あったことを話しているだけの録音をやってみないか」と持ちかけた。これにより、映画に無防備で親密な側面が加わった。「これはジョニーが最もプライベートな思いを話すシーンになったね」とホアキンは回想する。

初期の段階で、ホアキンが監督に「この子は誰がやるんだい? この作品には並外れた才能の子供が必要だ」と尋ねたように二人の化学反応がこの映画のカギとなる。「魅力的でキュートで遊び心があるだけでなく、複雑な陰影を漂わせている子を求めていたんだ」と監督は説明する。候補を絞り込んでいく中で、ホアキンはウディ・ノーマンを含めた候補者と即興のセッションを始めた。「すぐには効果が出なかったが、感じるものがノーマンにあったので、彼の飛行機の予定を変更し、翌日には戻ってこられるようにした」と監督は振り返る。「その時、ウディに、普段は弟とどんなことをして遊んでいるのか聞いてみたところ、レスリングと答えた。それでホアキンがWWEスタイルの大柄のプロレスのキャラクターのまねをやり始めると、2人は仲良くなったんだ」
クラシック音楽が好きではなく、ヘビメタのファンであることもあり、ウディはジェシーの気持ちが理解できたという。また、ジェシーが典型的な現代っ子であり、すでにいろんなことを考えているところも気に入っていた。「ジェシーの好きなところは、彼が子供の部分と大人の部分を併せ持っているところです」とウディは説明する。大先輩であるホアキンとの共演でウディが気負うことはなかった。彼は、「ホアキンは僕にたくさんのことを教えてくれました」と語り、「ホアキンは僕と同年代だと思っています」と最大級の賛辞を贈っている。監督は「ウディとホアキンは強い絆で結ばれていた。彼ら自身の本当の関係と親密さがリアルタイムで展開されているのが分かった。ニューオーリンズのパレードのあとに、2人だけの静かなシーンがある。2人は手をつなぎ、ウディがホアキンの胸に頭を預けるんだ。シーンの順番どおりに撮影し、何か月も一緒に過ごしてきたから、あの時点で2人は大の親友になっていて、互いが大好きだった。だからあれは僕の指示ではないんだ。彼らは自然にやっていたんだ」と語る。ティモシー・シャラメに憧れているウディは、次回作の公開も控えており、今後の目標を聞かれたら迷わず次のように答えた。「これからも役者として活躍して、いつかは素敵な家にも住みたい。役者として限界まで挑み、やめなければいけない時がくるまで続けたい」

4都市をモノクロで撮る

本物の子供たちとやりとりをしたインタビューを入れたいという構想の通り、まず監督はロサンゼルスからニューヨーク、デトロイト、ニューオーリンズへと旅をする映画の構図を描いた。「東、西、北、南の各都市が入っているのが気に入った」と監督は語る。「それぞれの都市を選んだ理由がある。ニューヨークでは、何世代にも渡って新しい生活を求めてニューヨークにやってきた移民の子供たちと話をした。デトロイトは、かつてアメリカの未来を象徴していた自動車の工業都市だけど、その“未来”は思いのほか早く終わってしまった。ニューオーリンズは、私たちが生きている間にいくつかの地域が水没してしまうことを知りながら生活している。また、ここには美しくも厳しい歴史がある」と語る。

ホアキンがインタビュアーとして対峙した時の子供たちの反応は、さまざまで、中には彼が映画スターであることを知らない子もいた。一方で「あのジョーカー役の人だね」とすぐに反応した子もいた。しかし「ホアキンには、スターという雰囲気だけでなく、“ちょっと、話していいかい?”という空間を作り出す力がある」と監督は語る。ニューオーリンズでは、本作のインタビュー対象者の一人である9歳のデバンテ・ブライアントが、制作後の2020年夏、7区の街角に座っていたところを流れ弾に当たって亡くなるという痛ましい事故が起きた。監督は、この作品をデバンテに捧げている。「デバンテは、とても聡明で、強くて、面白くて、勇敢な子だった。ただひたすらに悲しく、彼の存在と死を真摯に受け止めなければならないと感じた」と述べている。

「白黒にすることで、日常風景から切り離されて、これは”物語”なんだ、ということをまず提示できると思った。つまり”物語”の中へ導くための手段だった」と監督が語る通り、 “ドキュメンタリー性を織り込んだ寓話“を表現するモノクロ映像だが、理由をさらに加えるとしたら、監督が白黒映画が好きだということも挙げられる。彼は『都会のアリス』だけでなく、フランソワ・トリュフォー監督の『ピアニストを撃て』、ミロス・フォアマン監督の『ブロンドの恋』、ピーター・ボグダノヴィッチ監督の『ペーパー・ムーン』、エルマンノ・オルミ監督の『婚約者たち』などのように、モノクロを簡素な映像というよりも、生き生きとした表現が可能な手法と考えていた。

リアルを追求する制作方針

ジョニーは監督を投影した姿ではないが、その影響があるのは明らかだった。「ジョニーを演じるために、文字通り彼の靴を盗んだんだ」とホアキンは笑う。実際にジョニーの衣装の大部分は監督の私物である。コンバースの白いチャックテイラー70、ジェシーと初対面するときのクロのジャケット、寒空のニューヨークを歩くザ・ノースフェイスのジャケット、グリーンのアーミーパンツ・・・など数々のアイテム以外に、髪型も監督からインスピレーションを受けたことを告白している。

時系列で撮影された本作の指針となったのは、軽いタッチで押し付けがましくないこと。監督の言葉を借りれば「現実世界をできるだけ映画の中に溶け込ませる」ことだった。そのため、ほとんどのロケ地は実際に生活が営まれている場所で行われた。一般の人が自由に行き来できる場所で、中には新旧の友人の家を借りるなどリアルな世界観を追求した。一からデザインしたセットは、ジョニーのアパートだけというこだわりぶりである。

サウンドトラックは、モーツァルトからワイヤー、エチオピアのピアニストのエマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルーと移り変わっていくが、BGMとしてシンセサイザーとクラリネットの繊細な音が流れている。人気ロックバンド、ザ・ナショナルの結成メンバーの双子の兄弟、アーロン・デスナーとブライス・デスナーが手掛ける音楽に関して「インタビュー・シーンの音楽には、重くなりすぎず、決定打になりすぎず、子供たちにスペースを与えるようなものを作りたかった。ジョニーとジェシーのシーンでは、音楽は穏やかで、雲のような優しい感じになっているよ」と監督は語っている。