バカ塗りの娘

2023年秋 全国ロードショー


塗っては研いでを繰り返す、通称“バカ塗り”
日本が誇る伝統工芸 津軽塗が繋ぐ父娘の物語。


堀田真由 小林薫
監督:鶴岡慧子
脚本:鶴岡慧子 小嶋健作
原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊)
製作:「バカ塗りの娘」製作委員会 制作プロダクション:アミューズ 映像企画製作部 ザフール
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会

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予告

イントロダクション

ものづくりは、まるで人生のよう。
塗り重ねた日々が、彩り、豊かになる。
海外では「japan」と呼ばれることもある“漆”。世界中から注目を集める漆器は、日本人の暮らしに欠かすことのできない、大切な日用品であり、芸術品。本作では青森の津軽塗のひとつひとつの工程を丁寧に映し出し、津軽塗職人を目指す娘・美也子と寡黙な父・清史郎が、漆や家族と真摯に向き合う姿を描く。
主人公・美也子役に堀田真由。将来への不安やほのかな恋心に心揺れる等身大の女性をたおやかに演じる。津軽塗職人の父・清史郎には、日本映画界には欠かせない俳優、小林薫。二人は実際に地元の職人から津軽塗の技法を教わり撮影に挑んだ。監督は、初長編作『くじらのまち』でベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭などの映画祭で高い評価を得たのち、西加奈子の小説『まく子』の映画化も手掛けた鶴岡慧子。
四季折々の風景や、土地に根付く食材と料理、人々の「魅力」を織り交ぜながら、つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく。

ストーリー

「私、漆続ける」その挑戦が家族と向き合うことを教えてくれた――
青木家は津軽塗職人の父・清史郎と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子の二人暮らし。家族より仕事を優先し続けた清史郎に母は愛想を尽かせて出ていき、家業を継がないと決めた兄は自由に生きる道を選んだ。美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいことを堂々と言えず、不器用な清史郎は津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放す。それでも周囲の反対を押し切る美也子。その挑戦が、バラバラになった家族の気持ちを動かしていく――

キャスト&スタッフ

青木美也子あおき・みやこ役:堀田真由
青木美也子役を演じさせていただきました。
初めて感じる気温や、湿度、匂いを全身で感じながら全編青森県弘前市で撮影させていただきました。
実際に職人さんに漆の使い方を伝授していただいたり、津軽弁を話したりと新たな挑戦にドキドキしながらもゆったりと流れる時間に身を委ねながら取り組む日々は、贅沢で忘れられないものとなりました。
最新な物が次から次へと産まれ機械化・自動化が主流になってきた今改めて、日本の美しい伝統工芸に触れ何を感じ受け取るか、そして伝授していくことの厳しさとどう向き合っていくのか津軽塗りを通して繋がる家族の物語から何か感じ取っていただけると幸いです。
〔 Profile 〕
1998年生まれ、滋賀県出身。
2015年WOWOW「テミスの求刑」でデビュー。その後、2016年NHK連続テレビ小説「わろてんか」で注目を集め、ドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」(19/NTV)、映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』(21/河合勇人監督)シリーズなどの人気作品に多数出演。
2022年には「鎌倉殿の13人」比奈役でNHK大河ドラマ初出演を果たした。2023年以降もドラマ10「大奥」(NHK)で3代将軍・徳川家光や、フジテレビ月9「風間公親-教場0-」など話題作への出演が続く。
青木清史郎あおき・せいしろう役:小林薫
津軽弁が難しかった
何度やっても出来ない発音なんかがあって、現場でも何十回とチェックをうけて苦労しました
それが、映画を観たらセリフの量がそうでもない、こっちは七転八倒しながら、セリフと格闘したから、大量だと思い込んでいたンですね
映画はラスト近くで、ギクシャクしていた親子関係が、お互いの存在を身近に感じて、優しい気分になっていくシーンがあります
ボク自身はそのシーンで何だか幸せな気持ちになりました
人は、争いより仲良くなっていく人をみると幸せな気分になるンだと
〔 Profile 〕
1951年生まれ、京都府出身。
唐十郎主宰の「状況劇団」を経て、77年に『はなれ瞽女おりん』(篠田正浩監督)で映画デビュー。代表作は、映画では『それから』(88/ 森田芳光監督)、『秘密』(99/ 滝田洋二郎監督)、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(07/ 松岡錠司監督)など。テレビドラマでは「ナニワ金融道」シリーズ、「Dr. コトー診療所」シリーズ(いずれもフジテレビ系)ほか多数。主演を務めた「深夜食堂」(TBS 系)シリーズは15年・16年に劇場版も公開。近年の映画出演作には『Dr. コトー診療所』(22/ 中江 功監督)、『とべない風船』(23/ 宮川博至監督)、『仕掛人・藤枝梅安 一、二』(23/ 河毛俊作監督)がある。公開待機作品に、『首』(23/北野武監督)がある。
青木ユウあおき・ゆう役:坂東龍汰
鶴岡監督の映画がとても好きなので今回お話をいただいた時は素直にとても嬉しく楽しみでした。
キャストの皆様とも以前に共演させていただいた方ばかりだったのでこの皆さんと家族になるんだと思うと安心感がありました笑
ロケ地である弘前市はとても美しい場所で毎日綺麗な空気を吸いながら土地に宿った力に身を任せ演じられました。津軽塗りの美しい職人技、静けさの中に響く音や画面いっぱいに広がる鮮やかな色は見ていて聞いていて一瞬で引き込まれうっとりしてしまいました。
家族のことを思い出して温かい気持ちになれる映画になっていると思います。
是非楽しみに公開を待っていていただけると嬉しいです。
〔 Profile 〕
1997 年 5 月 24 日生まれ、北海道出身。
2017 年、俳優デビュー。18 年、ドラマ「花へんろ 特別編 春子の人形」に初主演し、注目を集める。主な出演作に映画『十二人の死にたい子どもたち』(19/堤幸彦監督)、『閉鎖病棟─それぞれの朝─』(19/平山秀幸監督)、『犬鳴村』(20/清水崇監督)、『弱虫ペダル』(20/三木康一郎監督)、『スパイの妻』(20/黒沢清監督)、『冬薔薇』(22/阪本順治監督)、『峠 最後のサムライ』(22/小泉堯史監督)がある。現在、4 月期 TBS 火曜ドラマ「王様に捧ぐ薬指」に出演中。映画『フタリノセカイ』(22/飯塚花笑監督)では第 32 回日本映画批評家大賞の「新人男優賞(南俊子賞)」を受賞。公開 待機作に、『春に散る』(瀬々敬久監督)がある。
鈴木尚人すずき・なおと役:宮田俊哉
映画に出演する機会がこれまであまり無く、この作品のお話を聞いた時は嬉しかったです。
青森の漆という文化を深く知るきっかけになり自分にとって凄く学びになりました。
映画を拝見させて頂き、この作品の時間は緩やかに流れていて普段忙しなく生きている僕にとってはとても緩やかな良い時間を過ごすことが出来ました。
そして何より優しい気持ちになれる作品だと思いました。
主人公の美也子が淡い想いを寄せる花屋という役だったのですが、初めての挑戦が沢山あってやり甲斐を凄く感じ、とても幸せでした。
堀田さんや小林さんは本当に大変な撮影だったと思いますが、空き時間に色々なお話をしてくださって楽しかったです。
楽屋では坂東さんがムードメーカーで凄く明るくて和やかな空気感を作ってくれました。
〔 Profile 〕
1988年9月14日生まれ、神奈川県出身。
2011年にKis-My-Ft2のメンバーとしてCDデビュー。12年に、ドラマ「私立バカレア高校」(NTV)、映画『劇場版 私立バカレア高校』(窪田崇監督)でドラマ・映画ともに初出演を果たす。その後も、アーティストとして活動する傍ら、俳優、声優、情報番組やバラエティ番組にレギュラー出演するなどマルチに活躍。主な出演作に、ドラマ「華麗なる一族」(21/WOWOW)、「ドクターホワイト」(22/KTV)、アニメ「デリシャスパーティ♡プリキュア」※(22/EX)、映画『劇場版 BEM 〜BECOME HUMAN〜』※(20/博史池畠監督)などがある。(※は声優)
鶴岡慧子監督
バカ塗りの「バカ」とは、ひたむきさを表す「バカ」です。津軽塗と出会い、ものづくりに対する慎ましくも純度の高い情熱に触れ、私もこんなふうに映画をつくりたいと思いました。
1カット1カット丁寧に、漆を塗り重ねるように撮る。色鮮やかな模様を研ぎ出すように、登場人物たちの個性で画面を満たす。堀田さん、小林さんはじめ、素晴らしい俳優さんたちとご一緒することができました。
そして、弘前の皆さん、津軽塗の職人さんたちに、本当の意味で支えていただきました。みんなでつくったこのひたむきな作品を、たくさんの方に楽しんでいただけたら幸いですし、津軽塗の魅力を知っていただけたら嬉しいです。
〔 Profile 〕
立教大学現代心理学部映像身体学科卒業。大学では万田邦敏監督に師事する。
卒業制作の初長編映画「くじらのまち」が第34回「PFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワード2012」グランプリとジェムストーン賞(日活賞)をW受賞。大学卒業後は東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域に進み、黒沢清監督に師事する。1年目に撮った「はつ恋」が「第32回バンクーバー国際映画祭」でタイガー&ドラゴン賞にノミネートされ、2014年に第23回PFFスカラシップ作品「過ぐる日のやまねこ」で劇場デビュー。同作品は、「第15回マラケシュ国際映画祭」にノミネートされ審査員賞を受賞した。2019年、映画「まく子」が話題となり、若手注目の監督である。

コメント

津軽塗の技術をしっかりと時間を使って、伝えている部分に本当に感銘を受けました。
また、静寂の中で津軽塗を制作している音が最高です!
作り手にしか聞こえない音は、映画をみるお客様に感動を与えることになると思います。
全国的に女性の作り手が増えてきているので、さらに後継者を発掘できる、きっかけになるはずです。感動しました。
石岡 健一
(青森県漆器協同組合連合会 会長 
有限会社イシオカ工芸 代表取締役)
青木親子を通し、⾃分が祖⽗や⽗から教わった津軽塗職⼈として当たり前だった制作の景色を伝えたいなと思いました。一つのモノを丹念に作るだけでは無く、数百個もの同じ塗りのお椀を作ることもあります。師匠と弟⼦が並んで作業し、師匠が弟⼦に技術を見せ、覚えさせ、沢山の経験を積ませ、職⼈としての技術が上達していくのを、⻑い目で待つ。そんな師弟の姿も見てもらいたいなと思っています。
津軽塗職⼈ 松山昇司
(劇中津軽塗監修・指導)
木目の見える椀木地が、荒いものから細かいものに繰り返す下地工程を経て、仕掛けや塗りかけの模様付けまで丁寧に繰り返され、次第に見慣れた津軽塗のお椀になっていく。この映像と漆刷毛やヘラの音、砥石の音が、頑固に津軽塗を守ってきた父親と、この道を継ぐと決心した娘の無言の会話のようだった。
九戸眞樹
(元青森県工業試験場漆工部長)
津軽塗を題材にとりあげてくださって感謝します。塗っては研ぎを繰り返す津軽塗。同じような作業でも、一つ一つに理由があり、一つの工程の中でも、たくさんの事を考えながらの作業。湿度・温度の管理をし、季節で漆の調整をし、仕掛けでは音を聞き、粘りをみて高さを合わせながら打つ。錫分を撒きつける作業では漆に息を吹き、その色で半乾きのタイミングをみる。こだわり出せばキリが無いが、常に漆の声を聞きながらの作業。一筋縄ではいかない漆だが、その底力に助けられる。
冬の訪れに、白鳥の鳴き声が聞こえてくる。美しく仕上がった津軽塗も同様、ステキな贈り物のように感じる。そしてその地道な工程の末に美しい漆器ができる様は、なんだかこの土地での生活そのものにも感じる。津軽の四季と、津軽塗のある景色も感じてもらえると嬉しいです。
津軽塗職人 山岡奈津江
津軽塗は、下地からはじまり、模様をつけたり、色を重ねたり、研いだり、磨いたりさまざまな工程を経て生まれます。
映画の中では、それら全てが工程ごとに丁寧に描かれていています。
無骨な職人の雰囲気、作業中の音や工房の空気感もとてもリアリティがあるので、観る人に伝わったら嬉しいです。
また、映画の中にはさまざまなバリエーションの津軽塗も登場します。
主人公の家族たちそれぞれの生き方とともに 津軽塗の多様性もぜひ感じてください。
gallery CASAICO 葛西彩子
ヒロインが、あきらめることをやめた時、日本の息苦しい現実に風穴があく。
主人公渾身の「バカ塗り」と、鶴岡慧子監督の映画づくりが二重写しになってきらきら光る。
人の心を動かす表現の力が心にしみる希望の映画だ。
恩田泰子(読売新聞編集委員)
日本映画で伝統的な芸道を描くと、どうしても成長譚カタルシスに走りがちだ。鶴岡慧子監督はその方式を採らない。ブレッソンが「手」に施した唯物的演出を、手作業の執拗な持続によって超越せんとする大胆な意志を貫いている。
荻野洋一(映画評論家)
人騒がせなタイトルは津軽の伝統工芸を守り引き継ごうとする娘へのリスペクト。父と呼吸を合わせるようにして、黙々と漆塗りと磨きを繰り返す娘の丁寧な演出に、鶴岡慧子監督の彼女への共感が感じられ、しかもどこか軽やかなのが素晴らしい。
北川れい子(映画評論家)
何度も塗っては削る津軽塗の工程をじっくりと捉え続ける画面には、執念と葛藤と誠実が映る。 塗りの作業を続ける堀田真由と小林薫の無言の対話が、雄弁で美しい。
中井 圭(映画解説者)
これは<扉>の映画である。あちら側とこちら側。そんな目には見えない境界線が、扉の開閉、或いはその動作によって繰り返し演出されている。そして<扉>を越えるたび、何かが成長するのだ。奇しくも斯様な反復は、幾重にも漆を塗ることとも似ているのである。
松崎健夫(映画評論家)