宣伝マンKの自由研究
実物の「アメリカの鳥類」を見てきました!レポート
本作で強盗の標的になるのが、野鳥画家ジョン・ジェームズ・オーデュボンの傑作「アメリカの鳥類」。
畳半畳ほどの大きさの紙435枚に、北アメリカの鳥類が実物大で描かれています。
ニューヨークの競売で965万ドル(約10億6600万円)で落札されております。
この、高価すぎる画集、アジアで実物を見れるのはたったの一か所。
それが日本、東京明星大学図書館にあるというので早速閲覧しに行ってきました!
そもそも貴重すぎる「アメリカの鳥類」を拝むためには手を洗い、マスクをし、本に栞すら勝手に挟んではいけないという注意を受け(映画ではあの4人は素手で掴み、唾をまき散らし、何なら階段から落としてたりもしたぞ・・・?)まだ実物を見ていないのにもかかわらず彼らはとんでもないことをしてくれたもんだ、と肝が冷えました。
見学当日。
出迎えて頂いたのは、大学の担当課長の石井さんと、太田さん。
実は「アメリカの鳥類」、あまりにも大きすぎるので1人ではページがめくれないのです。
お2人に連れられ、本が保管されているという貴重書室へと入ります。
防犯カメラが3台、鍵は内側から開かないという完全防備。
実は、この「アメリカの鳥類」は、元は絵を何枚かセットにして売られていたもの。
富裕層がそれを1枚1枚買い集め、各々に製本したものが現在形として残っています。
なので、只の本、というよりも、骨董品という概念の方が正しいのだそう。
そしていよいよページをめくります!大きすぎる!貴重すぎる!
故に、端と端を2人で持ってめくっていきます。
「あれ?手袋はしなくていいの?」と思ったそこのあなた。
私も不思議に思い聞いてみたところ、逆に手袋はNGとのことで、
手袋によっては縫い目が粗いので傷がつく恐れがある、滑りやすい、化学繊維によって変色する恐れがあるのがその理由。
見ていく内に、オーデュボンの描く鳥に不自然な点を見つけました。
首はそんな風には曲がらないのでは?こんな格好の鳥は本当にいるの?
なんだかおかしな姿勢の鳥の絵が続きます。
そこで担当課長の石井さんに教えて頂いたこと。
これは、あくまで野鳥画家の描いた図鑑なのです。
この鳥の羽はこういう色になっていますよ、この鳥の足はこういう形をしていますよ、
そういった情報を盛り込むために、あえて変わった姿勢で描いているそうです。
ちなみに、鳥の近くには小さく数字が書かれており、
各絵の下には、1.オス、2.メスなどと性別が記載されています。
オーデュボンといえばフラミンゴが有名ですが、小鳥の絵も数多く存在します。
中には既に絶滅した種類の鳥も描かれているというので興味深いですね。
ここで少し驚きの実話を。
今ではこうして明星大学図書館に所蔵されている「アメリカの鳥類」ですが、日本に初上陸したのはもっとずっと前の話。
「アメリカの鳥類」を初めて日本に持ち込んだ人物、それは黒船に乗ったペリー提督というから歴史は面白いですね。アメリカの最先端の技術を日本に持ち込んだペリー、その中には蒸気機関車などもあったそうですが、政府に渡された献上品物目録には「アメリカの鳥類」の名前も。
しかし、献上された後、どこにいってしまったかは不明…。
提督がアメリカからのお土産として選んだ「アメリカの鳥類」、それだけでも、この本がどれだけ貴重かよく分かります。
そして、お待ちかね、フラミンゴの登場です。
やはりページをめくった時の興奮が他の鳥とは桁違い・・・!
不自然な姿勢は鳥の細部を見せたいからと前に書きましたが、
フラミンゴの場合はもう一つ違う理由が。
実物大にこだわったオーデュボン、漏れなくフラミンゴもその実物大にこだわりました。
ただ、当時紙の大きさはこれが限界、なんとかこの紙の中に収めたいという気持ちから、
首が地を這うような形に。
これではフラミンゴを見たことの無い人に誤解を与えてしまう!と感じた彼は、後ろに正常な姿勢の仲間を描き加えるなど、他の絵には無い工夫を凝らします。
十分に見終えたところで、こちらの本を貴重書の棚に戻す作業が。
あまりに大きい(畳半畳分)、重い(30㎏)、貴重(数億円)なので、書庫の棚は『アメリカの鳥類』の為に特注したものだそうです。
結論:「あれを盗みだそうなんて到底思わない!!」
『アメリカン・アニマルズ』は、刺激を求めた大学生がそんな本を盗み出すというトンデモ映画!
是非この体験レポートを読んで、みなさんより一層映画を楽しんで頂けますように…!
改めまして、明星大学の石井さん、太田さんに御礼申し上げます。
この度は取材にご協力頂きまして誠にありがとうございました。
そして最後は、「すしざんまい」ならぬ、「鳥ざんまい!」ポーズでパチリ。