公開を間近に控えた9月24日(火)、ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏と
上智大学の前嶋和弘教授を迎え、トークイベントを開催致しました!
映画上映後の会場に拍手で登場した二人。
映画の感想を聞かれると、本編で描かれる【アメリカ国内での内戦】という衝撃的な設定が
もはやフィクションとは言い切れないほど現実とリンクしていることを揃って指摘。
特に劇中に登場する、権威主義的な“3期目”の大統領は監督自身も「トランプを意識した」と明かしているが、
7月に続いて2度目のトランプ暗殺未遂事件も起きている中で、ある種【予言】となり得るかもしれない
可能性を大いに秘めた本作の要素を語り合った。
====================================
ウクライナやガザ、今まさに起こっている戦争を例に挙げつつ、本作の戦争描写の生々しさが、日本でもアメリカ同様「公開後の評価にもつながると思う」と熱く語ったロバートソン。ドローンを使った、まるでビデオゲームをイメージするような残酷な兵器が日進月歩で生み出され続けていることを日々のニュースの中で実感していることを明かし、前嶋も「人の命がどんどん安くなっている」と警鐘を鳴らす。
そしてロバートソンは、今も起こり続けている虐殺や悲惨な戦争の報道映像に麻痺しつつある人々に対し「(本作を見て)新たにそういうニュースや刻々と流れてくるものを感じ取る能力を、もう1回研ぎ澄ますことができるんじゃないかな」と評し、「まさにそうだと思う」「本当にリアリティなんです」と前嶋も同意した。
その後、<リアリティ>というワードから「本当に、今度の11月5日の大統領選挙以降、こういう世界はあり得るかもしれない」と、自分勝手な大統領によって、劇中で描かれるような内戦状態が現実に引き起こされるかもしれない現在のアメリカの状態を危惧した二人。「この内戦はウクライナ戦争にも繋がっていくし、我々が毎日見ているガザの話にもつながってくる」と前嶋が指摘すると、ロバートソンも「内戦になるともうみんな人間じゃなくなる」「報道秩序と民主主義が壊れる段階まで社会が突入してしまうと、 もうみんな人間らしく振る舞わない。お互いに虐殺し合ってしまったユーゴの内戦と同じ」「アメリカが、ボスニアになる」という厳しいメッセージを、本作から感じ取ったことを振り返った。
最後にロバートソンは「なるべく多くの若い方、女性男性問わず感動していただきたい、怖がっていただきたい映画」だと力説。「みんなが銃を持っているアメリカという前提がないので、日本ではこういう内戦はないと思います」としつつも、それに乗じて「政治家や政治活動家が、タカを括って無責任にガソリンを火にかけるようなことは日々言っている」と声を上げ、前嶋も「日本は、まだ、アメリカほどの分断には至っていません。ですが、その種みたいなのいっぱいあって、我々は絶対避けないといけない」と警告。
日本の分断の火種の一つでもある移民問題、難民問題、性犯罪問題にも触れながら、前嶋は「小さなことを大きくする、その拡大メガホンが、ソーシャルメディア」このままいくと「日本もまずいことになる」と懸念し、ロバートソンは「南北戦争の時代はアメリカと日本遠かったですが、今はもう世界が一緒になっている」と、他人事ではいられない現実ついて語った。