INTRODUCTION
米国の大人気テレビドラマシリーズ『glee/グリー』でカバーされ、2011年の世界最多のダウンロード数を記録した名曲『ドント・ストップ・ビリーヴィン』、不朽の名バラード『オープン・アームズ』など1975年のデビュー以来、メガヒットを連発し、全盛期には8枚のプラチナ・ディスクを出すなど大記録を打ち立てたアメリカを代表するロックバンド、ジャーニー。 しかし2007年、30年以上のキャリアを誇るバンドは岐路に立たされていた。 70年代からの黄金時代を担ったカリスマ、ボーカルのスティーヴ・ペリーが98年に脱退。その後、新たに2人のボーカリストを新メンバーとして迎えたものの相次いで脱退。それ以降はボーカル不在で活動は停滞していた。
2007年12月、新しいリードボーカルを探し求めていたギタリストのニール・ショーンはYouTubeでジャーニーの曲を歌う無名のフィリピン人シンガー、アーネル・ピネダの映像を偶然見つける。スティーヴ・ペリーを髣髴とさせるハイトーンの声質、そして驚くべき歌唱力に衝撃を受け、すぐさまニールはアーネルに連絡を取る。まさかの電話にアーネルは悪質な悪戯だと最初はとりあわなかったが、本当にニール本人だとわかるとすぐさま渡米、オーディションを受け、正式にジャーニーの新ボーカリストとして迎えられた。そのネット時代ならではのサクセスストーリーは全米、世界中で大々的に報道された。 本作『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』は、ジャーニーとフィリピン人、アーネル・ピネダの身に起きた、ロック界のおとぎ話のような実話を追ったドキュメンタリー。歌うことを教えてくれた最愛の母親の死、一家離散、2年間もの路上生活… しかし彼は人生のすべてを歌に賭け、計り知れない苦労を乗り越えアメリカン・ドリームを掴んだ。これは決して夢をあきらめることをしなかったアーネルの不屈の精神とその類まれなる才能の物語でもある。