INTRODUCTION
数々の賞を総なめにした『舟を編む』の石井裕也監督が、
《家族》に向き合い、全力で挑んだ最高傑作。

『川の底からこんにちは』でブルーリボン賞監督賞を歴代最年少で受賞、さらに2013年、『舟を編む』で第86回米国アカデミー賞®外国語映画賞部門日本代表作品に選ばれるという快挙を成し遂げ、同作は日本の映画賞を総なめにした。今や世界から注目される存在となった石井裕也監督が満を持して選んだテーマ、それは自身が描き続けてきた〈家族〉。
だが、私たちはオープニングからほんの数分で気付く――。
今まで観てきたどの<家族映画>とも、全く違うということに。監督が「本気で家族というものに向き合いたかった」と、家族がもつ<業>に全力でぶつかった渾身の一作。これまで描かれることのなかった、けれど誰もが知っている真の家族の姿がここにある。

STORY
突然告げられたお母さんの余命。
その日からぼくたちは奇跡を信じて動き出したー

ある日突然、若菜家の母・玲子(原田美枝子)に「脳腫瘍」が見つかる。末期症状で、余命1週間をも宣告されたのだ。
父(長塚京三)は取り乱し、長男の浩介(妻夫木聡)は言葉を失くし、次男の俊平(池松壮亮)は冷静を装う。
母の記憶は脳の腫瘍のせいで曖昧になっていき、息子の浩介さえも誰かわからなくなるほどだ。
振る舞いも少女のようになっていき、ひた隠しにしていた家族への不満や本音を暴露し、男たちはぐうの音も出ない。
さらに、父の多額のローンと母のサラ金通いが発覚、浩介は自分たちの家族がとっくに壊れていたことを思い知る。
つい昨日まで元気だった母と家族に突然訪れた事件。
それは”普通の家族”に潜んでいた秘密や本音を表面化させた一一家族になって27年、培ってきたものは波風を立てないことと、見えない借金だった。
どうしたらいいか分からない。
けれど終わらせることなんてできない。
そして浩介と俊平は、「悪あがき」を決意するー。