INTRODUCTION
日本文学界最後の巨人・筒井康隆による老人文学の傑作『敵』に『桐島、部活やめるってよ』『騙し絵の牙』の吉田大八が挑む。
俳優歴50年を迎える長塚京三が、12年ぶりに映画主演を務め、熟練のスタッフと俳優たちが紡ぐ、人生最期の「讃歌」。
STORY
渡辺儀助、77歳。
大学教授の職を辞して10年ー妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋に一人慎ましく暮らしている。料理は自分でつくり、晩酌を楽しみ、友人たちとは疎遠になったが、時には教え子を招いてディナーを振る舞う。預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。
遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。
だがそんなある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。