ハウ ハウ

Introduction

かつてない優しいラストに、温かな感動が待っている。

『眉山-びざん-』、『ゼロの焦点』、『のぼうの城』などで日本アカデミー賞を受賞した名匠・犬童一心監督。これまでも『いぬのえいが』(「ポチは待っていた」)、『グーグーだって猫である』シリーズ、『猫は抱くもの』など動物をテーマにした作品を数多く発表してきた動物映画のレジェンドが、1匹の心優しい犬と、心に傷を負った1人の青年の絆を描き、新たな感動作を生み出した。脚本と原作は『黄泉がえり』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞し、『キセキーあの日のソビトー』も手がけた斉藤ひろし。かつて自身の愛犬と過ごした優しい時間をエッセンスに、長年構想をあたためてきた本企画で、ついに犬童監督と初タッグ。日本アカデミー賞コンビが贈る“観るものすべての背中を、そっと押してくれる物語”が始動した。

Story

婚約者にあっさりフラれ、人生最悪な時を迎えていた市役所職員・赤西民夫(田中圭)。
横浜で一人空虚な日々を送る彼は、上司からの勧めで、飼い主に捨てられて保護犬になってしまった真っ白な大型犬を飼うことになってしまう。
犬はワンと鳴けず「ハウッ」というかすれた声しか出せない。とびっきり人懐っこいこの犬を、民夫は“ハウ”と名付け、1人と1匹の優しくて温かい日々が始まった。
民夫にとって最初は戸惑うことも多かったハウとの暮らしだったが、何をするにもいつも一緒な“ふたり”の絆は次第に深まり、いつしかかけがえのない存在となっていった。
ハウと民夫の最高に幸せな時間はずっと続くと思っていたのだが…。

そんな時、突然ハウが姿を消す。
あらゆる手段を尽くしてハウを探す民夫だが、無情にも「ハウによく似た白い大型犬が事故死した」という情報がもたらされる。

しかし、横浜から遠く離れた北の地でハウは生きていた!
偶然のアクシデントが重なり、ハウは青森まで運ばれてしまったのだ。
ハウは、大好きな民夫の声を追い求め、「もう一度、君に会いたい」という一心で青森から横浜、798キロの道のりを目指す。民夫はハウがいないという現実に苦しみもがきながらも、少しずつ向き合おうとする。
民夫のそばで優しく寄り添う同僚の足立桃子(池田エライザ)の支えもあり、皆それぞれに悲しみを抱えながら生きていくことを学んでゆく。

一方、ハウは民夫を探して走る道中で、悩みや孤独、悲しみを抱えた人たちと出会う。
震災の風評被害に心を痛める女子中学生の麻衣(長澤樹)。愛する夫(石橋蓮司)を亡くし、ひとりで傘屋を営む老女・志津(宮本信子)。深刻なDV被害に遭い、修道院のシェルターに保護された若い女性・めぐみ(モトーラ世理奈)。彼女たちに寄り添い心を癒していく。

民夫と離れ離れになっても、民夫への愛情をひと時も忘れず、「もう一度、きみに会いたい」という思いを胸に、ひた走るハウ。
果たしてハウは大好きな民夫と再会できるのか?そして、映画史上最も切なく、優しい結末とは――?