【Introduction】

観る者の感性を刺激する、[DEATH]の大胆なビジュアライズ!A24が放つ、奇想天外にして心温まる母娘の物語は、命あるものすべてが迎える“死”を描きながらも、今ここにある“生”をヴィヴィッドに照らし始める。

次世代を牽引する新たな才能を発掘してきたA24のもと、本作で長編監督デビューを飾ったのはクロアチア出身のダイナ・O・プスィッチ。タバコをくゆらせ、ラップのリズムを刻むチャーミングなキャラクター<デス>(DEATH)を造形する一方で、“死”という観念を奇想天外に視覚化、その苦悩にも触れるなど奥行きのあるストーリーに仕立てた。繊細でウィットに富んだ少女チューズデー役には、『恋人はアンバー』のローラ・ペティクルー。シリアスとコミカルを横断する絶妙なバランスで母親ゾラを演じたのは、エミー賞常連の人気TVシリーズ「VEEP/ヴィープ」で知られる、コメディエンヌのジュリア・ルイス=ドレイファス。コンゴウインコをメインに据えて、絶滅危惧種まで含めさまざまな種類の鳥を複合的に掛け合わせた<デス>の声には俳優のアリンゼ・ケニを起用。ただ単にアフレコを行ったのではなく、実際に撮影現場に立ち会い、キャストの一員として<デス>を演じ、リアリティを持たせた。
母娘ふたりは、世にも奇妙な鳥の<デス>と突如対峙することによって間もなく訪れるであろう別れを次第に受け止めてゆく。そのプロセスを風変わりな表現を用いて驚きとユーモアと涙で満たした『終わりの鳥』がアイス・キューブの名曲「It Was a Good Day」に乗って、いよいよ日本に“飛来”する!
【Story】「ママは大丈夫だって約束して」―「約束する」「絶対だよ?」―「絶対の絶対の」「絶対の絶対の絶対」
余命わずかな15歳のチューズデーの前に喋って歌って変幻自在な一羽の鳥が舞い降りた。地球を周回して生きものの“終わり”を告げる、その名も<デス>(DEATH)。チューズデーはそんな彼をジョークで笑わせ、留守の母親ゾラが帰宅するまで自身の最期を引き延ばすことに成功する。やがて家に戻ったゾラは、鳥の存在に畏れおののき、愛する娘の身から<デス>を全力で遠ざけるべく、暴挙に出るが……。
場面写真
「アイス・キューブのラップを鳥が歌う映画で感動するなんて!」————FILM FEECER|「ファンタジーなのに、この胸を刺す痛みはホンモノ。」————Financial Times

【Cast & Director】

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    <ゾラ>ジュリア・ルイス=ドレイファス/Julia Louis-Dreyfus/1961年、アメリカ、ニューヨーク市マンハッタン出身。ノースウェスタン大学で演劇を学ぶ。1982年から、当時、史上最年少の女性キャストメンバーとして、「サタデー・ナイト・ライブ」に3年間出演。1986年、ウディ・アレン監督の『ハンナとその姉妹』でスクリーンデビューを果たし、NBCのヒットシリーズ「となりのサインフェルド」(1989年~1998年)で国民的スターに。2013年、ニコール・ホロフセナー監督作『おとなの恋には嘘がある』で主演を務め、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされる。2017年、主演、製作総指揮を務めたHBOのヒットシリーズ「Veep/ヴィープ」(2012年~2019年)で、単独の俳優によるエミー賞の最多受賞と、単一の役での最多連続受賞の記録を破る。近年の出演作品に、Netflixのケニヤ・バリス監督作『ユー・ピープル~僕らはこんなに違うけど~』(23)、A24が全米配給したニコール・ホロフセナー監督の『地球は優しいウソでまわってる』(23)、MCUのアンチヒーローが集結する『サンダーボルツ*』(25)など。
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    <チューズデー>ローラ・ペティクルー/Lola Petticrew/1995年、イギリス北アイルランドのベルファスト生まれ。ウェールズ王立音楽演劇学院を卒業。ITVの「Next of Kin(原題)」(18)でテレビドラマ出演デビューを果たす。BBCのスリラー「ブランニック警部 ~非情の大地」(21)で主演のジェームズ・ネスビットの娘のイッシー・ブランニック役を演じたことでも知られている。2019年、アイルランドのインディペンデント映画『A Bump Along The Way (原題)』での演技が評価され、同年、ゴールウェイ映画祭でビンガム・レイ新人賞を受賞。そのほかの出演作に、デヴィッド・フレイン監督作『恋人はアンバー』(20)、ジョージ・マッケイ、リリー=ローズ・デップと共演したナタリー・ビアンケリ監督作『WOLF ウルフ』(21)、マリア・シュラーダー監督作『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』(22)など。
  • <デス/DEATH>アリンゼ・ケニ/Arinzé Kene/1987年、ナイジェリアのラゴスで生まれ、ロンドンのハックニーで育つ。2018年の一人芝居「Misty(原題)」が批評家から絶賛され、オリヴィエ賞に2回ノミネートを果たし、オフ・ウエストエンド・シアター賞で最も有望な新人劇作家賞、英国演劇賞で黒人劇の最優秀男性男優賞を受賞する。また、脚本とドラマへの貢献が認められ、2020年に大英帝国勲章(MBE)を受章。スクリーンでは、ベン・A・ウィリアムズ監督『The Pass (原題)』(16)に主演し、第19回英国インディペンデント映画賞(BIFA)の最優秀助演男優賞にノミネートされる。近年の出演作に、ドミニク・サヴェージ監督のアンソロジー「I AM 私の分岐点」(19)シリーズ、コーキー・ギェドロイツ監督作『ビルド・ア・ガール』(19)、ジュリア・ハート監督作『アイム・ユア・ウーマン』(20)、ジム・ストラウス監督作『ラヴ・アゲイン』(23)などがある。
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    <監督・脚本>ダイナ・O・プスィッチ/Daina O. Pusić/1985年生まれ、クロアチア出身の脚本家、監督。ザグレブ演劇芸術アカデミーで映画、およびテレビの監督術を学び、イギリスに移りロンドン映画学校で学ぶ。2013年、30歳以下のクロアチア人の最優秀映画監督に贈られるエレナ・ライコヴィッチ賞を受賞し、これがきっかけで初めてプロとして短編映画『Zvjerka(英題:The Beast)』を制作。この作品は2014年にNISI MASA European Short Pitch(ヨーロッパ短編映画祭)に選出され、受賞した。また2015年にテルライド映画祭でプレミア上映された。彼女の次のプロジェクトであるコメディ短編『Rhonna & Donna(原題)』(16)は、300を超える応募作品の中からクリエイティヴ・イングランドに選ばれ、Big TalkおよびBaby Cowと共同で“ファニーガール・イニシアチブ”の一環として制作された。この映画はフリッカーズのロードアイランド映画祭で世界初公開され、その後、テルライドやエステティカ短編映画祭を含む複数の映画祭で上映、第1回アステティカ短編映画祭最優秀脚本賞を受賞した。A24とBBCフィルムが製作・出資した本編が長編デビュー作となる。